他の給湯器よりも、電気代がお得になるということで有名なエコキュート。皆さんはいったいなぜ電気代が節約できるのか、ご存知でしょうか。
実際のところ、「お得だとは聞くけど、具体的にどれくらいの電気代がお得になるのかは知らない…」といった方も多くいらっしゃいます。
しかし、エコキュートの電気代節約の理由や方法を知らないまま導入したり使用を続けるのは、あまり効果的ではありません。使い方によっては、お得に運用することもできれば、逆に電気代を無駄にしてしまうことも。
今回はエコキュートの電気代が安い仕組みと、具体的な消費電力についてご説明します。この記事を読めば、どのようにすればより電気代を節約できるのか理解できることでしょう。
エコキュートの概要
まずエコキュートとはいったいどんな給湯器なのか簡単にご説明していきます。
1-1. 大気熱を利用して効率よく給湯
エコキュートは基本的に電気を動力源としています。しかし、電気だけでなく空気中の大気熱を合わせて利用することで効率のよい湯沸かしを行えるのです。
大気熱とは空気中に存在する自然発生した熱のこと。これを装置の中に取り入れ、お湯を沸かす熱の元として利用するのです。
ただ電気だけでお湯を沸かすよりも、電気の使用量を減らすことが出来るのがエコキュートの特徴です。
1-2. 電気温水器よりも稼働効率が高い
大気熱を使う湯沸かし方法についてご説明しました。ではこの方法は、大気熱を使わないタイプの給湯器と比較してどの程度お得なのでしょうか。
一般的にエコキュートは大気熱を使わない電気温水器よりも、2.5倍~3倍以上も稼働効率が高いとされています。
これはいわゆる電気温水器よりも少ない電力でお湯を沸かせるということになります。
1-3. ガス給湯器よりも節約に貢献
給湯器には電気でお湯を沸かすものとガスでお湯を沸かすものがあります。ではガス式給湯器と比較すると、エコキュートのランニングコストはどのようになるのでしょうか。
結論からいうと、エコキュートの方がランニングコストは安く収まります。もちろんガス代と電気代なので、比較するうえで単価が異なります。しかしそれを加味してもエコキュートの電気代の方がお得なのです。
さらに通常のガス給湯器よりも必要ガス量を抑えたエコジョーズという給湯器と比較しても、エコキュートの方がコスト面ではお得です。
エコキュートの消費電力と電気代
続いてエコキュートのサイズに伴うお湯の必要量と消費電力についてご説明していきます。
2-1. エコキュートの基本的なタンクサイズ
エコキュートにはお湯を溜めるタンクがあります。タンクには様々な容量のものがあり、日常的なお湯の使用量によってサイズを選ぶのが一般的です。
様々な種類が開発されていますが、一般的なのは以下の3種類。
対応人数 | 容量 |
1~3人 | 370ℓ |
4~6人 | 460ℓ |
7~8人 | 550ℓ |
エコキュートを購入、設置する際にはこうしたタンクサイズに合わせて選ぶのが一般的です。
2-2. 世帯人数ごとのお湯の必要量
当然ながら、世帯人数が増えるほどお湯の使用量も増えます。世帯人数に応じたお湯の使用量は以下の通りです。
世帯人数 | お湯の使用量目安/日 |
1~3人 | 360~580ℓ |
4~6人 | 670~835ℓ |
7~8人 | 920~1000ℓ |
エコキュートはタンクの容量の約1.8倍のお湯を作ることが出来ます。そのため580ℓのお湯が必要な3人家族でも、370ℓ容量のエコキュートで問題ないのです。
2-3. 世帯人数ごとの消費電力
お湯の使用量の増加に伴い、月々の電気代も高くなっていきます。それでは、世帯人数ごとに毎日使用する電力の目安を見ていきましょう。
世帯人数 | 消費電力/日 |
1~3人 | 6.7~15.7kWh |
4~6人 | 17.4~20.9kWh |
7~8人 | 24.5~27.0kWh |
ちなみにこれはエコキュートを使用したときの1日あたりの消費電力です。
実はこの消費電力を電気温水器と比較すると、エコキュートのほうが世帯1人あたり約1.3kWh、電気使用量が多い傾向にあります。
それではなぜエコキュートの方が電気代を安くできるのか、次の項で見ていきましょう。
2-4. 電気温水器との電気代の差
電気温水器と比較して、月々のエコキュートの電気代は約3分の1だとされています。
消費電力はエコキュートの方が多いにも関わらず、電気代は安いというのはなぜなのでしょうか。実はエコキュートの稼働時間に安さの秘密があります。
エコキュートは夜間をメインにお湯を沸かします。夜間の電気は昼間よりも需要が少ないため、安い単価に設定されているのです。
その安い夜間電力を有効活用することによって、エコキュートは大幅な電気代削減に貢献しています。ちなみに、エコキュートの1年を通した電気代の目安は、1万5千円台とされています。
お得な電気代で初期費用も楽々回収
エコキュートの電気代の安さの秘密についてご紹介しました。月々の電気代はかなりコストが抑えられるエコキュート。
しかし初期費用などのコストを、どのくらいの期間で回収できるのかといったポイントも節約には重要です。
3-1. エコキュートの本体価格と工事費用
エコキュートの本体価格はおよそ30~50万円。電気温水器やガス式給湯器が10万円台で購入できることを考えると、エコキュートは比較的高額といえます。
これはエコキュートがハイテクであるうえに、装置自体が大きく部品の数も非常に多いためです。さらにエコキュートの工事費用は15万円前後。工事費用に関しては他の給湯器とそこまで差がありません。
3-2. 初期費用の差額と回収期間
エコキュートの初期費用には、本体価格と工事費の両方がかかります。例えば本体価格40万円として、工事費用を15万円とすると初期費用の合計額は55万円となります。
従来の電気温水器の本体価格を15万円、工事費も15万円で30万円とすると、エコキュートとの初期費用の差は25万円です。
そしてエコキュートの年間電気代の目安は1万5千円。これは従来の給湯器と比較すると年間で約4~5万円もお得な計算になります。
1年で5万円もの差がでるのであれば、初期費用で多く払った25万円分はたったの5年で回収できることになります。
さらに55万円の初期費用も、11年で回収可能。10年以上使うことで、初期費用も込みでお得に運用することが出来るのです。
さらにエコキュートで電気代を安くするコツ
それでは最後にエコキュートの電気代をさらに安く抑えるコツについてご紹介していきます。
4-1. 「夜間のみ沸き上げ」機能を使う
エコキュートが電気代を節約できる秘訣は、料金の安い夜間電力を利用するということです。
そのため夜間電力のメリットを最大限に生かすには、昼間にお湯を沸かさないようにするのがポイント。
エコキュートには「夜間のみ沸き上げ」という機能があります。これを常にオンにしておくことで、夜間電力を使用して夜のうちに翌日分のお湯を沸き上げしてくれるのです。昼間の電力を使わない節約術といえます。
4-2. 適宜「自動保温」を切る
エコキュートはボタン一つで色々な機能を使える便利な給湯器です。「自動保温」という機能をオンにしておけば、常に設定温度の温かいお湯を使うことが出来ます。
しかしこの機能は常にオンにしておくことで、常に電気を消費することにもなります。そのため、もうお風呂に入らないと判断したら「自動保温」をこまめに切ることがポイント。
これにより無駄な電気代をかけずに済みます。
4-3. 追い炊きをするよりも「高温たし湯」
エコキュートのお風呂で追い炊きをする時、「追い炊き」機能を使うよりも「高温たし湯」という機能を使う方がお得です。
「追い炊き」の場合はいったんお湯を装置内に戻して沸かし、給湯します。それに対して「高温たし湯」はタンク内に既に沸かしてあるお湯を高温のまま浴槽に入れるという機能です。
「高温たし湯」は実質浴槽の温度を上げてくれるうえ、「追い炊き」機能よりも使用電力が少なく済みます。
4-4. 長期不在の時は「運転停止日数(沸き上げ休止)設定」を利用する
エコキュートには学習機能が付いており、日々使用するお湯の量を計算して夜のうちに必要なお湯を沸かします。これはお風呂に入る必要のない日でも同様です。
エコキュートの運転を完全に停止させないと、毎日お湯を自動で沸かします。これは電気代の無駄にもなりかねません。
もし長期的に家を空けるような場合には、「運転停止日数(沸き上げ休止)設定」をオンにしておくことでエコキュートの稼働を停止できます。
休止する日数も設定できるので帰ってくる日の前日にお湯を沸かし、帰ってきたときにすぐお湯を使えるようにも出来ます。
4-5. 規則正しい生活でお風呂に間隔を開けない
浴槽に張ったお湯を何度も追い炊きや、沸かし直しすることも電気代アップの要因です。一度浴槽にお湯を張ったら、間を空けずお風呂を済ませるのがコツ。
家族が多い場合は全員がまとまった時間にお風呂を使用することを意識すれば無駄な追い炊きをする必要がありません。
これにより効率よくエコキュートを使用することができ、電気代の節約にもつながります。
夜間の電気代について
夜間電力は昼間電力よりも電気代の単価が安いことをご紹介しました。しかしどの程度の差があるのかは、地域によっても異なります。
最後に、エコキュートを導入する前に知っておきたい夜間電力の電気代についてご紹介していきます。
5-1. 夜間電力の電気代は地域によって異なる
夜間電力は全国を通して、昼間の電力よりも単価が安く設定されています。しかしその電気代の設定は地域により異なります。
例えば、夜間電力の単価が最も安いのは関西電力のはぴeタイムプランです。9.94円と全国の中でも全国の中でもかなり安い料金設定となっています。
一方、夜間の電気代が最も高いのは中部電力のスマートライフプラン。昼間よりは安いものの、16円と他の地域に比べて高めの電気代となっています。
5-2. 割引になる時間帯も地域によって異なる
「夜間電力」というのは何時から何時までのことを指すのでしょうか。実はこれも地域の電力会社によって設定が異なります。
例えば北海道や東北電力では22時~翌8時を夜間電力の適応時間としています。東京電力では1~6時の7時間のみ。
こういった知識があればよりお得にエコキュートを稼働させることが出来ます。
5-3. 自身の利用スタイルに最適な利用プランを選択
電力会社によっては、エコキュートを導入している家庭に最適な電力プランを打ち出していることがあります。
自分の住んでいる地域、そしてその電力会社の料金プランを吟味し、最も自分に合っているプランを選択することも電気代節約の第一歩です。
まとめ
エコキュートの電気代についてご紹介しました。
エコキュートは他の給湯器と比較してかなり電気代を抑えることが出来る給湯器です。さらに、使い方によってはかなり効率よく利用することが出来ます。
賢いプラン選びと使い方で、電気代を節約しましょう。