エコキュートは毎日のお風呂を快適にしてくれる給湯器です。数々の大手メーカーから販売されており、その省エネ性能や利便性が注目されています。
皆さんは、その故障や不具合が起きた時にどう対処すべきか、ご存知でしょうか。
実際のところ、「エコキュートは長寿命だし、エラーの詳しいことは知らない」という方がほとんどだと思います。
しかし、それを知らずにエコキュート を使い続けるのはかなりリスキーです。確かに、エコキュートの寿命は10年以上。他の給湯器よりも長寿命なのが特徴です。しかし長く使えば使うほど、故障や不具合も発生しやすくなるのです。
エコキュートは異常があると、「エラーコード」と呼ばれるコードをリモコンに表示します。エラーコードは数多くあり、それぞれのコードに適した対処をしなくてはなりません。
そこで今回は、数あるエラーコードの中で「H54エラーコード」に注目。H54というエラーコードの原因と対処法を詳しくご説明します。この記事を読めば、どうすればエラーに適切に対処できるかが理解できることでしょう。
エコキュートのH54エラーコード
まずはH54というエラーコードについてご紹介します。
1-1. エコキュートのH54エラーコードとは
エコキュートのエラーコードは、メーカーにより異なります。各エコキュートメーカーの取り扱い説明書には、それぞれ異なるエラーコードが記載されているのです。
採用しているアルファベットや数字が違えば、その意味もそれぞれ。つまりダイキンにはダイキンの、三菱には三菱の設定したエラーコードがあるのです。
エラーコードに対処するには、メーカーごとに設定されたエラーコードに適した対処をする必要があります。
しかしこのH54というエラーコードは、ダイキンとパナソニック製のエコキュートで表示される共通のエラーコードです。エラーコードの意味や対処法も共通しています。
このように、まれにメーカー間で共通したエラーコードが設定されている場合もあります。
H54エラーコードの内容
では早速H54エラーコードの内容について見ていきましょう。
2-1. H54エラーコードが出ると…
H54エラーコードが出ると、エコキュートはお湯がわかせなくなります。
エコキュートにはお湯を貯めておくタンクがあるので、すぐにお湯が切れるわけではありません。タンク内にお湯が残っていれば、シャワーを浴びることもできます。
しかしいずれにしても、新しくお湯を沸かすことができません。残り湯を使い切ってしまうと、その後はお湯が出なくなります。
そのためH54エラーが出たら、当日ないし翌日にはすみやかに対処する必要があります。
2-2. H54エラーコードは三方弁の異常
H54とはどのような意味を持つエラーコードなのでしょうか。
ダイキンとパナソニックの公式ホームページを見てみましょう。H54エラーコードの内容はそれぞれこう記載されています。
ダイキン
→貯湯タンクの不具合です。沸き上げ三方弁の不具合により停止しています。エラーコードの内容と対処方法(エコキュート )
パナソニック
→三方弁異常 エコキュート 自己診断コード:H54
それぞれの説明に、「三方弁」という言葉があります。
H54エラーコードは、エコキュート内の三方弁という部品の異常を示すエラーコードです。
2-3. 三方弁とは
三方弁とはどのような部品なのでしょうか。
三方弁は、文字通り3つの方向に水を流す弁です。3方向に分かれており、弁を開閉させて水の流れを変えることができます。
この三方弁はエコキュートの貯湯タンク内に設置されています。主な役割は、水とお湯をそれぞれ送り分けることです。
エコキュートのタンクは上層部にお湯、下部に水が溜まるようになっています。エコキュートを稼働させると、三方弁はまずタンク下部から水をとり、ヒートポンプユニットへと送ります。
そしてヒートポンプユニットでお湯ができると、今後はそれをタンクの上層部へと流すのです。
このように、三方弁が機能することでエコキュートの中ではお湯と水が混ざらずに同居しています。
2-4. 三方弁が壊れるとお湯が沸かない
この三方弁が壊れるとタンク下部から水を取り入れ、再び下部へお湯を戻すことになります。つまり本来お湯があるべきタンクの上部に、お湯がない状態です。
貯湯タンクの温度センサーは、タンク下部の熱を感知。下部が沸いているということは、つまりタンク全体がお湯で満たされていると判断します。そして自動的にわき上げを終了するという流れです。
こうした理由で、H54エラーコードが出るとお湯が沸かせなくなります。
2-5. エコキュートの基盤が故障している場合も
H54エラーコードが出た場合、三方弁以外の故障も考えられます。それはエコキュート内部にある、基盤の故障です。
エコキュートにはタンク、ヒートポンプユニット、リモコンにそれぞれ基盤が入っています。三方弁も、この基盤につながっている部品です。基盤は部品同士を繋ぐ役割があるほか、電気を流す道筋としての役割も担っています。
そのため、この基盤自体が劣化するとエコキュートはうまく作動しません。
H54エラーコードが出ているときは、三方弁だけでなく基盤そのものが故障していることもあります。
H54エラーコードへの対処法
ではH54エラーコードが出たときの対処法をご説明していきます。
3-1. エコキュート本体をリセット
H54エラーコードが出た時に自身でできる対処法はただ1つ。それはエコキュート本体のリセットです。手順は以下の通りで、非常に簡単です。
- エコキュートの漏電遮断器を切る
- 1~2分経過したら再び漏電遮断器をONにする
このようにエコキュートを再稼働させることで、エラーコードが消える場合があります。それで通常通り使えれば問題ありません。
ちなみにエコキュートの漏電遮断器は電源のようなものです。漏電遮断器は一般的にエコキュートの貯湯タンク側面にあることがほとんど。普段はカバーでおおわれているので、それを開けて入切します。
また故障の状態によっては、この作業をしてもエコキュートが直らない場合もあります。
一度直ったと思っても、その1~2分後にはまた同じエラーコードが出ることも。そんなときは何度もリセットを試さず、漏電遮断器を切った状態で修理を依頼しましょう。
リセットを何度も繰り返すことは、エコキュート本体の大きな負担になってしまいます。
3-2. 専門業者に修理を依頼
リセットでエコキュートが直らない場合は業者に修理を依頼しましょう。依頼する際、問い合わせ先は3パターンあります。
- エコキュートのメーカーに直接問い合わせ
- エコキュート専門の修理業者に依頼
- 近くの工務店などに依頼
アフターサポートなどといったプランを契約している場合は、メーカーに直接問い合わせましょう。
修理の料金を抑えたい場合は、色々なエコキュート専門の修理業者をあたるのもおすすめです。据え付けをお願いした業者に再び頼むのもいいでしょう。
また、近くの工務店はフットワークが軽い場合があります。今すぐ来て欲しい場合や、昔からのつてがある場合は依頼するのもありです。しかし工務店の場合、料金が割高になる可能性があります。
H54エラーコードが出たときのエコキュート修理費用
最後にH54エラーコードが出たときの、エコキュート修理費用をご紹介します。
4-1. 三方弁の取り換えは2~4万円
三方弁のみを取り換える修理だと、費用はおよそ2~4万円とされています。そのうち1.5~2.5万円前後は、修理における技術代や出張費です。
三方弁自体は8,000円〜12,000円程度のパーツなので、そこまで高くありません。
ご自身で交換を行う人もいるようですが、あまりおすすめしません。メーカーにより形が違うほか、下手に栓を開けると水が噴き出します。
部品1つの取り換えとはいえ、専門的な技術を伴います。そのため業者に依頼した方が安心です。
4-2. 基盤の取り換えは4~5万円
先ほど、エコキュートの基盤自体が古くなっている可能性もあるとご説明しました。
基盤の故障や老朽化は、修理業者に見てもらえば分かります。特に10年以上使っているエコキュートなら、基盤ごと交換する場合も少なくありません。年数によっては、エコキュートそのものの交換をすすめられることもあるでしょう。
基盤の交換は、4~5万円の修理費用が目安です。また、基盤と三方弁を同時に交換すると、5~6万円の修理費になる場合もあります。
4-3. エコキュートの保証期間内なら無料
エコキュートは購入時に、1~2年の保証期間がついています。その期間内であればH54エラーコードの修理は無料で行えます。
保証期間はメーカーによりけりですが、ダイキンとパナソニックは同じ保証期間を設けています。
いずれも本体保証は1年、タンクの保証期間は5年です。また、自身の希望で保証期間を延長することもできます。
できることなら修理費用はかけたくないものです。そのため保証期間内であれば、無料の修理を利用しましょう。
まとめ
エコキュートのH54エラーコードについてご説明しました。
エラーコードへの対処は分かりにくいものが多いですが、「H54」の場合は1度リセットすればOKです。
それで直らなければ修理を依頼、というシンプルなものでした。
エコキュートは長寿命な給湯器ですが、使っていくうちにどうしても劣化してしまいます。
H54のようなエラーコードが出たら、それを機に点検するのもおすすめです。