稼働効率が高く、長く使える給湯器「エコキュート」。皆さんは、エラーコードが出たらどのような対応をすべきか、ご存知でしょうか。
実際のところ、エラーが起きてしまっても「自分では原因がよく分からない…」となることが多いのではないでしょうか。
しかし、エラーコードを知っているのとそうでないのとでは全く違います。突然エコキュートにエラーコードが出ると、焦ってしまいますよね。そんなエラー時に表示されるエラーコードの中にも様々な種類や、考えられる原因があるのです。
今回はそんなエラーコードの中でも「H56」というコードに注目。このコードが何を意味し、どう対処すれば良いのか徹底的に解説していきます。また修理が必要になった場合の、修理費についてもご紹介します。この記事を読めば、あなたがどう適切な対処をするべきかが理解できることでしょう。
エコキュートのH56エラーコード
まずはエコキュートのH56エラーコードの示す意味や、原因についてご説明します。
1-1. H56エラーコードはダイキンとパナソニック製エコキュートのコード
エラーコードは、メーカーごとに意味が異なります。
H56は、ダイキンとパナソニックで採用されているエラーコードです。つまりダイキン製、もしくはパナソニック製エコキュート限定のエラーコードということです。
同じ内容のエラーコードでも、他メーカーの場合には異なるエラーコードが設定されています。
1-2. 「エコキュートの自動湯はりができない」エラーコード
ではH56は何を示すエラーコードなのでしょうか。具体的には、「エコキュートの自動湯はりができない」というものです。
これは多くの場合、混合弁という部品の不具合が原因とされています。水を温めるモーターは正常でも、水と熱湯を混ぜて適温にすることができないというエラーコードです。
またこのエラーコードの場合は、お湯が出ないのはお風呂の給湯口のみです。つまりH56は、「自動で適温のお湯をはれない」エラーを意味します。
1-3. 混合弁とは…
さきほどH56は混合弁の不具合によるとご説明しました。混合弁とは、エコキュートのタンク内にある弁です。
混合弁には風呂用混合弁と給湯用混合弁の2種類があります。そしていずれも弁を開閉することで適温のお湯を作る機能を持ちます。
この仕組みについて、少し詳しくご説明しましょう。
エコキュートのタンク内には、水とお湯がどちらも入っています。エコキュートはまずヒートポンプユニットで熱を生み出し、熱湯を作ります。
次に基盤から設定温度が伝達され、それに基づいて混合弁が開閉します。混合弁が弁を開閉すると、この熱湯と水が混ざります。
こうして設定通りのちょうど良いお湯が作れるという仕組みです。
1-4. H56エラーコードが出ると…
H56エラーコードが出ると具体的にどうなるのでしょうか。症状は、「自動湯はりができない」というものです。
ボタン1つで湯はりを行うことができなくなってしまいます。しかし一方で、それ以外の機能は正常に使えることがほとんど。
つまり、わき上げ自体は正常にできます。さらに水道やシャワーからは、お湯が問題なく出せます。
1-5. H56エラーコードの原因
H56エラーコードは何故起こるのでしょうか。考えられる原因は主に以下の3つです。
- 給湯温度が設定温度よりも高く検出された
- 給湯温度が残湯の温度よりも低く検出された
- 混合弁を水側へ稼働させても全開になっていることが検出できない
1.の場合、混合弁が機能せず、適温のお湯を作れていない状況です。またお湯の温度を感知する「ふろ給湯サーミスタ」の故障である可能性もあります。
2.の場合、給湯温度がタンクに残っているお湯よりも低い状況です。熱湯が作られているにも関わらず温度が低いということは、ふろ給湯サーミスタの故障が考えられます。
3.の場合、混合弁がしっかりと開いていない状態です。経年劣化などにより混合弁が固着し、開きが悪くなっている可能性があります。
また、ごくまれに混合弁やふろ給湯サーミスタの不具合が原因でない場合もあります。この場合、設定温度の指示を出す基盤そのものの故障が考えられます。
エコキュートのH56エラーコードへの対処法
では自宅のエコキュートでH56エラーコードが出たら、どのように対処すればよいのでしょうか。ここからは適切な対処法をご紹介します。
2-1. H56エラーコードには業者の点検が必須
H56エラーコードに対処するには、まず混合弁とふろ給湯サーミスタの点検が必要です。
どこが故障しているのか見極めたうえで、必要な部品の交換を行います。これはエコキュートの修理業者に依頼するしかありません。
混合弁や風呂給湯サーミスタは、エコキュートのタンク内にあります。専門知識のない人がエコキュートの内部を開けるのは危険です。
状態によっては、エコキュートから熱湯が噴き出す可能性もあります。そのため、H56エラーコードが出たら速やかにエコキュート修理業者に連絡をしましょう。
2-2. エコキュートのリセットは解決にならない
エラーコードの中には、エコキュートをリセットすることで消えるものもあります。しかしH56エラーコードの場合、エコキュートのリセットでは解決しません。
まれにH56エラーコードが出ていても、リセットすることで一時的にエラーが消えることがあります。しかしこれはあくまで一時的なもの。混合弁やふろ給湯サーミスタが直ったわけではありません。
また、一時的なリセットではお風呂を満タンにできないでしょう。
エコキュートの不必要なリセットは本体に負担をかけてしまいます。何度もリセットをして稼働させようとするのは控えましょう。
3-2. 風呂用混合弁の点検・交換
H56エラーコードのほとんどが、風呂用混合弁の故障であることがほとんどです。混合弁は、経年劣化するとうまく弁が開かなくなります。
点検によって風呂用混合弁がエラーコードの原因だと分かれば、新品の混合弁と交換する必要があります。
3-3. ふろ給湯サーミスタの点検・交換
お湯の温度を感知するサーミスタが故障していることもあります。混合弁と同様、サーミスタもまた経年劣化で故障することがしばしば。
まれに新しいものでもセンサーに異常が出る場合があります。ふろ給湯サーミスタがエラーコードの原因であるかは、点検によって分かります。
その場合、新しいふろ給湯サーミスタへの交換が必要です。
H56エラーコードが消えるまでの対処法
H56エラーコードへ対処するには、業者の修理を待つしかありません。しかし、エコキュートの修理業者は当日に来てくれるとは限らないでしょう。
そこでここからは、修理が完了するまでの対処法についてご紹介します。
4-1. シャワーで湯はりを行う
H56エラーコードが出ると、自動湯はりができません。しかし逆にいえば、それ以外の機能は使うことができます。
エコキュート内のわき上げは正常に行われているので、浴槽の給湯口以外からならお湯は出るのです。
もしその日に修理業者が来ない場合は、シャワーや水道からお湯を出して湯はりを行えば問題ありません。この際、お湯は自動で止まりません。
湯船があふれてしまわないよう、お湯を止めるタイミングに注意が必要です。
H56エラーコードの修理費用
最後に、エコキュート修理業者に点検や部品交換を頼んだ場合の修理費用についてご紹介します。
4-1. 点検費用は1.5~2.5万円
エコキュートの修理費用には、点検費や技術費、出張費がかかります。
これはエコキュート修理業者から自宅の距離などにもよりますが、およそ1.5~2.5万円はかかると見積もっておくと安心です。
4-2. 混合弁の費用は約1万〜1.5万円
混合弁の不具合が原因だった場合、混合弁を丸ごと取り換える修理が必要です。
混合弁の本体費用は、1〜1.5万円前後です。つまり点検と混合弁の交換で、約3〜4万円がかかる計算になります。
4-3. ふろ給湯サーミスタの費用は9,000円~1万2,000円
エラーコードがふろ給湯サーミスタの不具合が原因である場合、サーミスタの交換が必要です。
ふろ給湯サーミスタの本体価格はおよそ9,000円~1万2,000円。
つまり点検とふろ給湯サーミスタの交換をすると、2万5,000円~3万5,000円前後の値段がかかる計算になります。
4-4. 基盤の費用は4~5万円
混合弁もふろ給湯サーミスタも正常で、基盤そのものの不調がエラーコードの原因となる場合もあります。その場合は、エコキュートの基盤を取り換える修理が必要です。
基盤の取り換えにはおよそ4~5万円の修理費用が必要です。基盤ごと取り換えるとなると、合計の修理費用は比較的高額になるでしょう。
また長年使用しているエコキュートだと、基盤の替えがない場合もあります。
4-5. 保証期間内なら無料
もしお持ちのエコキュートがメーカーの保証期間内であれば、修理費用はかかりません。
メーカーによっては、オプションで保証期間を伸ばすこともできます。
自宅のエコキュートが保証期間内であれば、メーカーに直接連絡して無料の修理を依頼しましょう。
まとめ
エコキュートのH56エラーコードについてご紹介しました。
H56エラーコードは自分では対処できないエラーコードです。表示されたら、早急にエコキュート修理業者へ連絡しましょう。
交換部品によって修理の値段は異なりますが、30,000程度を見積もっておくと安心です。
費用が気になる場合は、事前にエコキュート修理業者へ問い合わせるのも良いでしょう。焦らず、修理を待ちましょう。