近年、「エコキュート」と呼ばれる給湯器の人気が上昇しています。 皆さんはエコキュートと電気温水器が一体どのようなものか、ご存知でしょうか。
実際のところ、「給湯器の詳しい違いは知らない。」という方も少なくありません。
しかし、エコキュートと電気温水器がどう異なるかを知らずに、給湯器の購入ををしてしまうのはかなりリスキーです。どちらも電気を利用しますが、そのコストや設置スペースなどメリットは明らかに異なるのです。
ここからはエコキュートと電気温水器の違いや、それぞれを導入するメリットについて詳しくご紹介していきます。この記事を読めば、ご自身に合っているのはどちらの給湯器なのかが理解できることでしょう。
エコキュートについて
まずはエコキュートとはそもそも何なのか、という点からご説明していきます。
1-1. 自然冷媒ヒートポンプ給湯器の愛称
「エコキュート」は、実は1つの製品名ではありません。「自然冷媒ヒートポンプ」というシステムを搭載している給湯器のことなのです。
ちなみに正式名称は「自然冷媒ヒートポンプ給湯器」。
これでは呼びにくく、堅苦しいということもあり「エコキュート」という愛称が付けられたのです。そのためどこのメーカーの製品ということもありません。
エコキュートは日立や東芝、三菱電機など様々なメーカーから発売されている給湯器なのです。
1-2. 2001年より発売開始
エコキュートが発売となったのは比較的最近のことです。初めてエコキュートが発売されたのは2001年。
ちなみに開発したメーカーは「コロナ」というメーカーです。
日本ではあまり聞かない名前かもしれませんが、このエコキュートの発売を皮切りに徐々に人気を伸ばしているメーカーなのです。
そこから次々と大手メーカーからもエコキュートが発売され、現在に至ります。
まだ発売から18年しか経っていないものの、エコキュートはその性能の高さが注目され、ぐんぐんと需要を伸ばしているのです。
1-3. 最新型の給湯器として活躍
このようにエコキュートは新しい給湯器です。自然冷媒ヒートポンプという仕組みについては後程ご紹介します。
簡単に言うと非常に便利で高機能な給湯器、といったところでしょうか。オール電化の普及が進む中でも注目されている給湯器なのです。
電気温水器について
それでは続いて電気温水器とは何か、ご説明していきます。
2-1. 電気を利用してお湯を沸かす給湯器
電気温水器はエコキュートよりも前から普及している給湯器です。主に電気を動力源とし、電気で熱を生み出すことでお湯を沸かします。
このシステムはエコキュートの自然冷媒ヒートポンプとは異なるものです。同じく電気を使う給湯器であっても、呼び名が違います。
また、電気温水器が普及する前は灯油・ガスといったエネルギーを利用する給湯器が主流でした。
しかしそれらよりも環境にやさしく、エコであるということで注目されているのが電気温水器です。
2-2. 2種類の電気温水器
電気温水器には2種類のタイプがあります。
1つめは瞬間式といいます。これは瞬発的に必要な分だけお湯を沸かすというシステムの電気温水器です。
専用のヒーターの中に水を通すことですぐにお湯が出来上がります。
2つめは貯湯式というものです。これはあらかじめ電気で沸かしたお湯をタンクに貯めて、必要な分だけそこから供給するという仕組みです。
瞬間式の装置はヒーターのみですが、貯湯式の場合はヒーター+タンクが必要になります。
2-3. ガスと同等のコスパの良さ
電気よりもガスの方が、低コストだと思われがちですが、一概にはそういえません。
電気温水器は非常にエコ性能が高く設計されているので、うまく使えばガスよりも経済的に使うことが出来るのです。
ガスから電気が主流になってきている理由は、環境への配慮だけではなくコスト面でのメリットもあるからなのです。
エコキュートと電気温水器の違い
それではエコキュートと電気温水器の仕組みの違いを見ていきましょう。
3-1. エコキュートの給湯の仕組み
エコキュートは自然冷媒ヒートポンプというシステムを搭載しています。
これは空気中に存在する大気熱を取り込み、圧縮することによって熱を生み出すという仕組みです。
そのため、エコキュートはエネルギー源として電気の他に「二酸化炭素」を必要とします。
全てを電気でまかなうよりも非常に効率が良く、環境にも優しい仕組みなのです。沸いたお湯はタンクにためられ、必要な時に温度調節をしながら給湯されます。
3-2. 電気温水器の給湯の仕組み
電気温水器はというと、電気の力100%でお湯を沸かす仕組みです。ちょうど電気ケトルと同じような仕組みでお湯を沸かします。
瞬間式の場合はヒーター部分が配管になっており、そこに水を通すだけで瞬間的に水がお湯に変化します。
貯湯式の場合はエコキュートと同様、電気で沸かしたお湯をタンクにためておき、必要な時に給湯するという仕組みです。
エコキュートを導入するメリット
それではエコキュートを導入するメリットをご紹介します。
4-1. 電気代が圧倒的に安くなる
エコキュートは昼間ではなく、夜間に主に稼働します。
なぜかというと、夜間の方が電気代は安く収まるからです。これは今までの給湯機にない機能です。
夜間電力をフル活用し、明け方までに1日分のお湯を沸かしておくことによって朝からスムーズにお湯が使えます。
この仕組みにより、月額の電気代は電気温水器よりの2分の1~3分の1程度までカットできるというメリットがあるのです。
4-2. 長く使える
エコキュートの寿命は10年~15年とされています。
ちなみに電気温水器寿命は10年程度。
ガスや灯油式の給湯器の寿命は8年程度です。
これと比較するとエコキュートは非常に長く使える給湯器といえます。
頻繁な買い替えなどをせずに長く使えるのは非常に便利ですね。月々の安い電気代を長くキープできるというのも嬉しいポイントです。
4-3. 便利機能が多い
エコキュートはメーカーによって、色々な便利機能を付加されています。
例えば、東芝のエコキュートには浴槽内に銀イオンを発生させる機能がついているものもあります。
これにより除菌・消臭効果が期待でき、2日目のお風呂でも快適に入れるのです。
他にもマイクロバブルが出るエコキュートや、配管をバブル洗浄してくれるエコキュートなど色々なオプションが付いています。
それもこれも最新型の給湯器だからこそのメリットです。
4-4. 稼働音が小さい
ガスや灯油の給湯器は特に炎を使うので稼働音がうるさいことがデメリットとされます。
しかしエコキュートは稼働音が非常に小さく設計されているのです。
エコキュートの稼働音は40デシベル程度。例えるなら図書館の中よりも静かな音です。
これなら夜間に稼働してもあまり近所迷惑になる心配はなさそうです。
4-5. エコ性能が高い
エコキュートの大きなメリットの1つに、「環境にやさしい」という点が挙げられます。
環境にやさしいということは、すなわちランニングコストも下げられるということに繋がるのです。
メーカーによりエコ性能は若干差が出ますが、どれも総じて電気温水器よりは圧倒的に高いといえるでしょう。
自宅においても有害物質を排出することも無く、安全性も高いうえにエコ。いいとこ取りの給湯器といえますね。
4-6. 万が一の時にお湯が使える
エコキュートは先ほどご紹介したように、タンクが付いています。これにお湯を常にためておく仕組みです。
そのため、万が一停電や災害などがあった場合にはこのタンクの水を使うことが出来るのです。
メーカーによっては非常用の給水コックに温度調節機能が付いているものもあります。
タンクは断熱材が使用され、保温効果も高く設計されているのである程度の時間は冷めずに保温することが出来ます。
4-7. 高い水圧が維持できる機種も
電気を使う給湯器の特徴として、水圧が弱いという点が挙げられます。
特に3階などといった高い階層の家や、一度に複数個所でお湯を使う家だと水圧の弱さがストレスになってしまうこともあります。
しかし近年エコキュートは改良がすすみ、水圧を高く維持できるものも多く出ています。
パワフルな水圧がいいという方にはエコキュートがおすすめです。
4-8. お湯の温度が安定している
エコキュートはお湯を作って貯めておけるので、すぐに温かいお湯を出せるほか、お湯の温度が安定しているというメリットがあります。
反対に、瞬間式の電気温水器の場合は急激に水が熱いお湯になるなど出始めの温度が不安定な傾向にあります。
お湯の急激な温度変化はストレスになるほか、肌にもあまりよくありません。
常に設定温度を保ってくれるという機能は、意外にも快適なお風呂を実現するには重要ポイントなのです。
電気温水器を導入するメリット
最後に、電気温水器を導入することのメリットをご紹介します。
5-1. 初期費用が安く済む
電気温水器の最大のメリットは、初期費用が安く済むということです。
電気温水器の本体価格は15万円~25万円。
それと比較してエコキュートは20万円~50万円程度はかかると見込んでおいた方が良いでしょう。
もちろんメーカーや機種、性能に応じて金額も変わりますが、エコキュートはまだまだ新しい給湯器でもあるので比較的高い傾向にあります。
5-2. 瞬間式の場合は設置場所を取らない
瞬間式の電気温水器にはタンクが必要ありません。そのため、設置場所を取らずに済むというメリットがあります。
特にマンションなどではあまり大きな給湯器の設置が出来ません。
省スペースで済ませたいという方には瞬間式の電気温水器がおすすめです。
5-3. 瞬間式の場合は湯切れしない
瞬間式の電気温水器の場合は、必要なだけ水を引いて来て瞬間的に温めて供給します。
そのため水が出なくならない限りは、湯切れの心配がないのです。
一方、貯湯式の電気温水器やエコキュートの場合はタンク内のお湯を使い切ってしまうと湯切れが起きます。
湯切れしてから再び沸かしなおすのには最低でも30分以上もの時間が必要。これがお風呂の途中だった場合にはかなりのストレスです。
しかし瞬間式の電気温水器ならこうした心配がないので好きなだけお湯を使えます。
まとめ
エコキュートと電気温水器の違いとそれぞれのメリットについてご紹介していきました。
設置場所や初期費用が問題なければ、エコキュートにした方が圧倒的に経済的であることが分かります。
一方で、湯切れリスクが懸念される方や設置場所を省スペースにしたい方にとっては瞬間式の電気温水器の方が適している場合もあります。
自分の優先したい条件がどちらの給湯器に当てはまるのか、是非検討してみて下さいね。