省エネ性能が高く、月々の電気代節約に大きく役に立つエコキュート。皆さんは、エコキュートが故障してしまった時の修理についてご存知でしょうか。
実際、「導入を考えているけど、修理の詳しいことは知らない。」という方も少なくありません。
しかし、エコキュートの修理について費用や必要な対処などを知らないで使うのはかなりリスクがあります。エコキュートは便利な給湯器ですが、メンテナンスなど定期的にチェックすることが必要なのです。
ここからは、エコキュートが壊れる前に知っておきたい修理のいろはをご紹介していきます。この記事を読めば、修理のポイントや実例をもとに、あなたが何をすべきかが理解できることでしょう。
エコキュートの故障について
まずはエコキュートの寿命や故障のサインについて押さえておきましょう。
1-1. エコキュートの寿命
エコキュートの寿命は、現在のところ10年~15年とされています。
一方、電気温水器の寿命は約10年。ガスや石油の給湯器は5~8年が寿命といわれています。
それらと比較すると、エコキュートがかなり長く使える給湯器であることが分かります。
しかし長く使えるその過程で摩耗したり劣化したりする部品があるのは確かです。
故障までいかなくても経年劣化は常に起きるものと考え、定期的なメンテナンスを行いましょう。
1-2. エコキュートの故障の種類
エコキュートに起きる故障の種類は大まかに分けて3つあります。
- 初期故障
- 偶発故障
- 摩耗故障
初期故障はエコキュートを設置する際のミスなどによって起きます。
エコキュートを導入してすぐに不調が見つかる場合はこの初期故障にあたるので、修理ではなく設置業者に問い合わせるのがおすすめです。
偶発故障は3~8年ほど経過して起きる故障です。何らかの外的要因により故障が起きます。
摩耗故障は9~15年目に起きる故障です。あらゆる部品が経年劣化することにより起こります。
1-3. エコキュートの故障のサイン
エコキュートが故障すると、リモコンにエラーコードと呼ばれるコードが表示されます。
これは例えば「e11」といったようにアルファベットと数字から成るコードです。
取扱説明書にこのコードの意味が記載されているので、それを見ればどこが故障しているのか分かります。
またエラーコードが表示されていないのにエコキュートがうまく稼働しない場合は故障ではなく、なんらかの操作ミスである可能性もあります。
本体の修理
それでは実際の修理にかかる情報を見ていきましょう。まずは本体の修理についてご紹介します。
2-1. 費用相場
本体修理の費用相場は、10万円~15万円とされています。修理業者の料金体系や、修理する部位によって金額が異なります。
ちなみに本体はエコキュートの心臓ともいうべき装置です。本体が故障すると、エコキュート全体の稼働が止まってしまいます。
また内部には精密機械も多く内蔵されているため、そういった電子基板を修理するとなるとかなり費用がかさんでしまう傾向にあります。
2-2. 修理方法
基本的に本体の故障だと判断できても、精密機械のためその場で修理することは出来ません。
そのため業者が持ち帰り、修理することとなります。修理している間は貸し出し用の代替機を使うこととなるケースが大半です。
業者によっては新品のエコキュートを運んできてその場で買い替えを勧めるというのも少なくないようです。
ちなみに修理には1週間~数週間を要するのが一般的とされています。
2-3. 実際にあった事例①
10年使用したエコキュートの事例です。
最初は簡単な水漏れが起こり、1万円以内で修理を依頼。その後水漏れは無くなったと思ったら数か月後にエラーコードが表示。
内部で再び水漏れを起こしていたのと、経年劣化が重なり、本体が故障したというケースです。
この場合は本体そのものを新品に取り換え、工事費込みで14万円となりました。
使用年数も長かったことから、修理して使うよりも新品を購入した方がコスト的に良いと判断したようです。
2-4. 実際にあった事例②
3年使用したエコキュートの事例です。
突然の落雷により、稼働が停止。エラーコードが出たので修理を依頼しました。
点検の結果、本体内の電子回路(ヒートポンプユニットインバーター基板・タンクユニットメイン基板・トランス)が破損していることが判明。
それに伴い台所リモコンも修理が必要な状況でした。
この事例では交換ではなく修理を依頼し、結果的に工事費込みで12万円の修理費用となりました。
貯湯タンクの修理
続いて貯湯タンクの修理について見ていきましょう。
3-1. 費用相場
貯湯タンクの修理費用は約30万円前後とされています。
しかし貯湯タンクは非常に丈夫に出来ており、自然災害などが無い限りタンク自体が破損するということは中々ありません。
また、タンクの故障といっても内部の部品交換や配管の交換のみであればかなり安くおさまることもあります。
貯湯タンクが破損した場合は、修理というよりも丸ごと取り換えとなります。そうなった際の相場が30万円程度だとおさえてきましょう。
3-2. 修理方法
貯湯タンクの破損に関してもその場でなんとかするということは出来ません。
内部は非常に複雑な配管が組み合わさっているので、修理作業は業者が持ち帰って行います。
代わりに代替機器を導入し、修理期間中はそれを使用することになります。
また、簡単な配管の修理であればその場で出来てしまうこともあります。そういった場合は1時間もせずに修理が完了することもあるのです。
3-3. 実際にあった事例
5年程度使用したエコキュートの事例です。
震災により貯湯タンクの内部が破損。さらに震災に伴う停電により本体内の電子回路が凍結、破損。
水漏れも発生し、トータルの修理費用が30万円前後となりました。ちなみに自然災害ということで、保険は適応外となります。
この事例では貯湯タンクを新しいものに交換しました。
配管の修理
続いては配管の修理についてです。
4-1. 費用相場
配管のみの修理であれば、修理費用はおよそ1万円~1万5千円程度とされています。
配管には経年劣化するパッキンなどの素材が使われています。これらは消耗品なので、比較的安価に交換することが出来るのです。
ちなみに水漏れもこうした部品の劣化が原因で起きることがしばしば。
放置せず、早めに修理を依頼しましょう。
4-2. 修理方法
業者が必要な部品を持ってきてその場で交換します。
修理の必要な部位の特定も、その時にその場で行うのが特徴です。
作業は20分~1時間程度で済むことが多く、部品の特別な取り寄せなどが無ければ1日かからずに終了します。
4-3. 実際にあった事例
4年程度使用したエコキュートの事例です。
突如パイプ詰まりのエラーが発生。浴槽の給水口の掃除や出来る限りの配管掃除を行ったものの、エラーは治らず。
業者に連絡し、修理を依頼。そして1時間足らずの修理で配管を直すことが出来ました。
この事例では出張費込みで修理費は8,000円でした。3~5年で配管に使われている消耗部品は摩耗します。
業者も含めた定期的な点検を心がけるとこうした事態を防げるでしょう。
修理費用を安く抑えるには…
修理が必要になった場合、お風呂が使えないのは困るという焦りから、出された見積もりをうのみにしてしまうことがよくあります。
しかし、それは実は足元をすくわれているかもしれません。
修理費用をできるだけ安く抑えるためには以下のようなことを実践するようにしましょう。
5-1. エコキュートのどこが故障したのか聞く
故障の部位をはっきりさせることは不必要な工事を防ぐことに対して重要です。
自分でどこが壊れたのかを把握しておくだけでも、次の対策になります。
5-2. 修理の内容について聞く
どのような修理をするのか、ということを業者に尋ねましょう。その場でパッと答えられないようであれば、その業者の修理には少々疑問がわきます。
このときにどの程度の費用がかかるのかもあわせて聞いておくとよいでしょう。
さらに、見積もりに不明な作業料が入っている場合は突っ込んで聞くことも大切です。
5-3. どのように修理するのか聞く
その場で修理するのか、持ち帰りなのかによっても修理費用が変わります。
基本的に簡単な作業であればその場でできるものの、電気子版やタンクの修理といったものに関しては持ち帰りになることがほとんどです。
持ち帰りの場合はいつ修理が仕上がるのか、また次来てもらったときに出張費はかかるのかなどといったことも細かく聞いておくといいでしょう。
買い替えをすすめられることも
修理に来た業者に、買い替えをすすめられることも実は多いです。この背景には以下のような理由があります。
6-1. 寿命による故障のケース
10年以上経過しているエコキュートは、故障も起こりやすい傾向にあります。
そのため、その場で修理が出来ても次々と経年劣化で故障が発生する場合もあるのです。
また15年という寿命を間もなく迎えようとしているエコキュートに多額の修理費用をかけるよりは、新品を買った方がコスパは良いというケースもあります。
6-2. 高額な修理費用になるケース
根本的にエコキュートがダメになってしまい、修理するにはかなり高額な見積もりを出されることもあります。
そんな場合には、むしろ買い替えてしまった方が安上がりなケースもあるのです。
現在エコキュートは工事費込みで、50万円前後で導入することが出来ます。
年々価格が安くなりつつあるエコキュート。思い切って買い替えてしまうのもアリでしょう。
エコキュートの修理における注意点
エコキュートを修理することになったら、次の点を確認するようにしましょう。
7-1. 信頼できる修理業者に依頼する
修理業者の質は、長くエコキュートを使うためにも非常に重要です。
特に初めての修理の場合は、業者を価格だけで選ばないようにしましょう。口コミなどをしっかり確認することをおすすめします。
7-2. 保証期間内であるかを確認
エコキュートは購入時に保証期間が付きます。
期間はメーカーや部品ごとに異なりますが、その期間内であればいずれも修理費用は無償です。
メーカーに問い合わせることで無償の修理が受けられるので、保証期間を必ずチェックしましょう。
延長保証に有償で入っている場合もあるので、忘れずに保証制度を利用することが重要です。
7-3. 保険が適応できる場合も
自然災害によりエコキュートが壊れてしまうと、保証が適応できず全額自己負担となってしまいます。
しかし自然災害にも適応できる火災保険に入っている世帯であれば、エコキュートの破損に保険が適応できる場合があるのです。
もちろん、その保険が建物の付属物も対象としているものに限ります。
ご自身が入っている火災保険を今一度確認し、もしそうであれば証拠となる故障時の写真を残しておくことが重要です。
まとめ
エコキュートの故障と修理についてご紹介しました。
修理は部品により費用も日数も異なるため、一概に相場が出せません。
しかし確実に言えるのは、5年に1度程度の頻度で有償点検を行えば突然の故障リスクは格段に減るということです。
是非自分でできるお掃除、そしてメンテナンスと点検を徹底して、万が一の時に備えて下さいね。