電気でお湯を沸かすタイプの電気温水器には、コンパクトな小型タイプの商品「小型電気温水器」があります。皆さんは、小型電気温水器にどのようなメリット・デメリットがあるかご存知でしょうか。
確かに、「良さそうな感じはするけど、デメリット等もよく分からない…」といった方もよくいらっしゃいます。
しかし、特徴をよく知らずに給湯器の交換をしてしまうのはリスクが伴います。小型電気温水器は通常の電気温水器に比べ、本体が小さく価格も安いのが特徴です。しかし、小さい分給湯量が少ないなどのデメリットもあるのです。
ここからは、小型電気温水器のメリットとデメリットを詳しく解説します。この記事を読めば、小型電気温水器がどのようなシーンに最適かが理解できることでしょう。
小型電気温水器と一般的な電気温水器の違い
まずは小型電気温水器と、一般的な電気温水器のスペックの違いについて見ていきましょう。
TOTO小型電気温水器「湯ぽっと」 | 三菱電機電気温水器「フルオートW追い炊き」 | |
サイズ | 30cm四方前後 | 幅約70cm×奥行約80cm×高さ約200cm |
タンク容量 | 12L~35L | 370L~550L |
価格 | 14万8500円~22万1500円(税別) | 57万円~67万円(税別) |
自動湯はり機能 | – | あり |
追い炊き機能 | – | あり |
上記の表を見ると、圧倒的に小型電気温水器が小さいことが分かります。
そもそも小型電気温水器と一般的な電気温水器では利用目的が違うので、これだけスペックに差があります。
小型電気温水器は、単一の洗面所やシンクに取り付けることを想定して作られた電気温水器です。
一方、一般的な電気温水器は家庭用として水道や台所、お風呂などすべての給湯をまかなえるだけのスペックを持っています。
小型電気温水器のメリット
では、小型電気温水器のメリットを見ていきましょう。
2-1. 設置場所を取らない
まず最大のメリットは、設置場所を取らないということです。
小型電気温水器は、本体サイズが30cm四方の商品が多数。一般的な電気温水器に比べて、非常にコンパクトなのが一番の魅力です。
そのため、シンクや洗面台の下に収めることもできます。外から配管を引いて、取り付け工事をする必要もありません。
また、洗面台の横にすっぽりと収めることも可能です。メーカーによっては、スリムな設計の小型電気温水器も販売しています。
このように、小型電気温水器は置き場所が限られている場合でも、問題なく設置できるのが特徴です。
2-2. 本体価格が安い
小型電気温水器は、メーカー希望価格10万円台から販売されています。
通販サイトでより安いものを探すと、10万円を切る商品も多数。手頃な価格で購入できるのが魅力です。
一方、一般的な電気温水器のメーカー希望価格は50万円以上する場合もしばしば。1台購入するにも、かなり大きな買い物になります。
2-2. ランニングコストが安い
小型電気温水器は、初期費用が安いだけではありません。消費電力が少なく、ランニングコストが安いのも特徴です。
TOTOの湯ぽっとという小型電気温水器シリーズを見てみると、消費電力は1.1kW~2.0kWとあります。
一方、三菱電機電気温水器の「フルオートW追い炊き」の消費電力は4.5kW~6.5kWです。
単純計算で、小型電気温水器は一般的な電気温水器の2分の1から6分の1近くの消費電力で済むことになります。
2-3. 設置が簡単
小型電気温水器はコンパクトな分、設置も簡単です。一般的な電気温水器のように複数の水栓と接続する必要がないため、設置に手間がかからないのも特徴です。
基本的に小型電気温水器を購入すると、接続に必要なパーツはすべて同封されています。
そのため、知識のある人なら自分で設置することもできるでしょう。この場合、設置にかかる工事費用が浮いてお得です。
2-4. 壁にかけられるデザインの商品も
小型電気温水器の中には、壁にかけて使えるデザインの商品もあります。
こうした商品は基本的にタンク容量が10L以下と非常に小さいものが多いですが、スペースを取らずに設置できておすすめです。下に直置きしないことで、シンク下を収納スペースとしてフルに活用できます。
また、車いすの方が利用する場合も、シンク下の本体が邪魔にならず快適に使えます。
壁掛けタイプはほこりもたまりにくく、掃除はサッと一拭きすればよいので簡単です。
2-5. 見た目がスタイリッシュ
小型電気温水器はコンパクトな分、省スペースでスタイリッシュに設置できるのが特徴です。
設置場所のバリエーションも豊富なので、できるだけ空間の雰囲気を壊さない設置の仕方も検討できるでしょう。
小型電気温水器のデメリット
小型電気温水器には、デメリットもあります。購入してから後悔しないよう、デメリットもきちんと把握しておきましょう。
3-1. タンク容量が小さい
小型電気温水器は、何よりタンク容量の小ささがデメリットといえます。たとえばTOTOの湯ぽっと(6L)は、連続給湯量が14Lです。
1回の手洗いや洗面に使う水の量は、一般的に6L前後とされているため、3人以上の人が連続して使ったらお湯が足りなくなるリスクがあります。
また、食器などの洗い物に利用する場合はより多くのお湯を使うため、大きめのタンク容量を兼ね備えた商品を選択した方が良いでしょう。
使用頻度の低い自宅の離れや小規模オフィスの給湯室には、6L容量の小型電気温水器がおすすめです。
また、デパートのトイレなど不特定多数の人が行き交う場所では12L前後の容量を備えた小型電気温水器が良いでしょう。
交通機関や学校など、一度に多くの人が集まりお湯を利用する場所では、25L以上の容量がある小型電気温水器がおすすめです。
小型電気温水器は利用者の数や利用頻度によって、適切なタンク容量を選ぶ必要があります。
3-2. 1つか2つの蛇口にしか対応しない
小型電気温水器は元々、独立した洗面所やシンクなどに取り付けることを想定して作られた商品です。そのため1つの本体で1つ、または2つの蛇口にしかお湯を供給できません。
一般的な電気温水器は台所や洗面所、お風呂などマルチにお湯を供給しますが、小型電気温水器にそういった機能はないため注意しましょう。
3-3. 湯切れのリスクがある
小型電気温水器は、湯切れのリスクがあります。
電気温水器は、あらかじめお湯を沸かしておき、必要に応じてタンクから供給する仕組みです。
つまり、ためておいたお湯の量を上回って使用すると湯切れが起きます。一度湯切れが起きると、しばらくの間お湯が使えません。
ただし湯切れは、使用環境に合わせたタンク容量の商品を選ぶことで解決できます。
たとえば給湯室でお客様が来たときに湯切れしていたら、給湯器を付ける意味がありません。
こうしたリスクを回避するためにも、利用人数や使用頻度に応じたタンク容量を選びましょう。
3-4. 水圧が低い
小型電気温水器は一般的な電気温水器に比べ、水圧が低いのもデメリットの1つです。これは本体が小さい分、仕方のないことといえます。
しかし、水圧が低い代わりに蛇口(水栓)のすぐそばにタンクを置いておけるので、設置場所の階層によって水圧が変わることはありません。
小型電気温水器はこんな人におすすめ
小型電気温水器は、こんな人におすすめです。ぜひご自身が当てはまるかチェックしてみてください。
4-1. 自宅の離れに使いたい
通常、家庭では一般的な電気温水器が使われるため、小型電気温水器はあまり用いられません。
しかし、メインの電気温水器でカバーしきれない離れの洗面所や、庭に独立してついているシンクなどでお湯を使いたい場合は小型電気温水器がおすすめです。好きな場所へ、自在に設置できます。
4-2. 会社の給湯室に使いたい
会社の給湯室やトイレ、授乳室などでお湯を使いたい場合も小型電気温水器はおすすめです。小規模なオフィスなら、6L前後の容量で十分にお湯をまかなえるでしょう。
飲料用として使える熱めのお湯が出る小型給湯器もあるため、取り付けておけば来客にお茶を出すときなどにも便利です。オフィスに対する社員の満足度も上がるでしょう。
研究所や医療系の施設で、小型電気温水器が取り入れられる場合もあります。
4-3. 公共の施設に使いたい
自治体の施設や交通機関など、公共施設のトイレや給湯室などにも小型電気温水器はおすすめです。
小型電気温水器といえど、大型ビルやターミナル駅といった多くの人が利用する場所にも対応できる容量の商品はあります。
30L以上の容量を持つ小型電気温水器を備えておけば、大概のシーンで湯切れせずに使えるでしょう。
まとめ
小型電気温水器のメリットとデメリットについて紹介しました。
小型電気温水器はコンパクトで取り回ししやすい電気温水器です。ただし、家庭で使う場合は一般的な電気温水器がメインとなります。
もし母屋から離れたトイレや洗面所がある場合や、会社の給湯室などで使いたい場合は小型電気温水器がおすすめです。
利用シーンに合わせて、最適な商品を選んでみてください。