環境にやさしく、非常に電気代節約効果が高い給湯器の1つ、エコキュート。皆さんはその保証期間についてご存じでしょうか。
実際に保証期間について「安心のためにつけたいけど、金額も考えると悩む…」という方も多くいらっしゃいます。
お金のかかることなので悩むのも当然ですが、目先のことだけを考えて保証期間を検討するのはかなりリスクが伴います。できれば安く購入したいところですが、長い目で見ると延長保証に入っていた方が格段にお得になる場合があるためです。
ここからは、エコキュートの保証期間についてメリットなどをご紹介します。この記事を読めば、どう選択すればあなたにとってお得かが理解できることでしょう。
エコキュートの概要
まずはエコキュートそのものについて見ていきましょう。
1-1. エコキュートの特徴
エコキュートは「自然冷媒ヒートポンプシステム」という機能が搭載されている給湯器です。
利用するエネルギーは電気。しかし通常の電気温水器と呼ばれる給湯器よりも高効率でお湯を沸かせるのが特徴です。
自然冷媒とは主に大気中に存在する二酸化炭素のことで、これを熱の生成に利用するシステムを採用しています。
2001年にコロナ社から発売されてからは、その後様々なメーカーが改良・販売しています。
1-2. エコキュートのメリット
エコキュートのメリットはなんといっても省エネ性能が非常に高いという点です。
エコキュートは省エネ基準達成率の110%前後を達成しているものがほとんど。つまり少ないエネルギーで多くの熱を生み出せるのです。
これは電気代節約にもつながります。
そのためエコキュートを導入すると電気代がガクンと下がるという特徴があるのです。
また、火を使わないので安全性の高い給湯器ともいえます。さらにオール電化との相性も抜群。
組み合わせることによって、より一層エコなライフスタイルを実現できます。
1-3. エコキュートのデメリット
便利なエコキュートですが、メリットだけではありません。
例えばエコキュートの初期費用は依然として、「高い」と言われがち。
もちろんそれだけの高い技術を搭載している給湯器なので仕方がないといえばそれまでですが、年々その相場は下がっています。
ちなみに現在は30万円前後でエコキュートを購入できるのです。
さらにエコキュートは使い方によって湯切れを起こします。
他には、夜に稼働することによる運転音などがデメリットとなる場合もあるようです。
エコキュートの寿命
続いてエコキュートの部品ごとの寿命を確認していきましょう。パーツの寿命を知っておくことは、保証期間を決める上で大切です。
2-1. 機器全体
エコキュートという給湯器全体の寿命は、およそ10年~15年とされています。
ただしこれは現時点でのデータです。というのも、エコキュートはまだ発売開始から20年前後しか経っていません。
これから改良を重ね、寿命がさらに延びるという可能性は大いにあります。
ただし現在の時点では8年程度で劣化が進み、10~15年程度で壊れるというのが一般的なデータとなっています。
2-2. 貯湯ユニット
エコキュートがお湯を貯めておくタンクの事を貯湯タンクといいます。
このタンクの寿命はエコキュート全体の寿命でもある10年~15年が寿命だとされています。
ちなみにタンクといっても、お湯を貯める貯水槽そのものが壊れることは中々ありません。
非常に頑丈な素材でできており、断熱材が何重にもなっているので、台風や嵐にも耐えられるような設計になっています。
そのため貯湯タンクの故障で考えられるのは、中の部品の故障が大半でしょう。
2-3. 水回路と送風機
エコキュートの本体には様々な部品が使用されています。循環ポンプや凍結防止切換え弁、さらに流量センサーなどが配置されている水回路。
そして熱を排出するためのファンモーターが搭載されている送風機などもヒートポンプユニットの一部です。
これらの寿命は約7年とされています。
エコキュートの劣化が始まるとされる8年が経つ前に、これらの交換を迫られる可能性があるのです。
2-4. 冷却回路や電気回路
熱を生み出すエコキュートに必要不可欠なのが冷却回路や電気回路です。
冷却回路には圧縮機や電動膨張弁といった部品が付いています。
圧縮機の寿命は10年前後。電動膨張弁は15年前後と、これらの部品は比較的タフです。
そして電気回路にはパワーモジュールやインバーターといった電気の通り道に必要な部品が備わっています。
パワーモジュールは7年前後、インバーターは12年前後が寿命とされています。
2-5. その他部品
その他にもエコキュートには配管や、それを繋ぐ継ぎ手やパッキンといった細かい部品が使用されています。
こうした部品は消耗部品の類なので、寿命は1年~2年程度のものもあります。中には5年程度で劣化するものもあり、部品によって寿命はまちまち。
塩害などといった周辺環境そのものが劣化を早めてしまう可能性もあります。
交換が手軽で簡単な反面、頻繁な不調の原因になりかねないので注意が必要です。
各メーカーの保証期間と延長保証プラン
それではメーカーごとの保証期間と、延長保証のプランを見ていきましょう。
メーカー | タンク( 無料保証 ) | 本体 (無料保証) | 冷媒回路( 無料保証) | 期間(有償保証) | 料金( 有償保証) |
パナソニック | 5年 | 1年 | 3年 | 5年/8年 | 10,476円/23,333円 |
三菱電機 | 5年 | 2年 | 3年 | 5年/8年 | 10,800円/23,238円 |
コロナ | 5年 | 2年 | 3年 | 5年/8年/10年 | 10,800円/23,238円/28,381円 |
ダイキン | 5年 | 1年 | 3年 | 10年 | 28,000円 |
日立 | 5年 | 1年 | 3年 | 7年/10年 | 20,954円/23,381円 |
東芝 | 5年 | 5年 | 5年 | 8年/10年 | 18,095円/28,381円 |
ご覧のように、最も無料保証が充実しているのは東芝のエコキュートです。全ての部品において5年保証が付くというのは頼もしいですね。
さらに、メーカーによっては延長保証の年数が異なります。
5年保証で最もお得なのはパナソニック。8年保証でお得なのは東芝です。
そして最も長い10年保証は、そもそもプランにないメーカーもあります。これは10年が、エコキュートの壊れるボーダーラインだからということでしょう。
ちなみに10年保証で最もお得なのはダイキンのエコキュートです。
エコキュートの10年保証が安心
できれば安く買いたいエコキュートですが、長い目で見ると延長保証に入っていた方が格段にお得になることもあります。
ここからは10年保証をつけることのメリットについてご紹介していきます。
4-1. 高額な修理代も保証期間内なら無償
先ほどご紹介した通り、エコキュートは8年を過ぎたころから劣化が進みます。ぼちぼち故障が出てくるのもこのあたりからです。
またエコキュートの内部には複雑な装置が使われており、いったん故障するとかなり高額な修理代金になってしまうこともしばしば。
本体内部の部品の故障などは10万円以上かかってしまうこともあります。
それと比較して延長保証料金はたったの2~3万円前後。
高い修理代を考えると、多少のお金を支払って無償修理してもらった方がコスパは良いと考えられます。
4-2. 8年を超えると故障のリスクが上昇
エコキュートの故障はいつどこで起きるか予測できません。いくら普段から綺麗に使っていても、壊れるときは壊れます。
しかも、8年を目安に故障のリスクが上昇します。すると故障は一回とは限りません。
あちこちにガタが来る年数でもあるので、色々な箇所に不具合が出てくる可能性もあります。そうなると、そのたびに業者を呼んで修理をして、の繰り返し。
修理の間はお湯が使えないうえ、お金もその都度かかります。
その点10年保証をつけておけば、何度修理しても一切自己負担の必要がありません。
4-3. ローンを返し終えてから交換できる
エコキュートは初期費用が比較的高いので、ローンでの支払いをする方もいます。
エコキュートに変えたことで浮いた光熱費を支払いに充てるというのは賢い返済方法でしょう。
しかし、そこに加えて予期せぬ修理代がのしかかってくることも。
延長保証に入っていないと、ローンを返し終えていないのに高額の修理代や、買い替え代金が発生してしまうこともあるのです。
しかし10年保証をつけておけば安心。修理費用は一切かからないので、10年間かけてゆっくりローンの返済に集中できます。
4-4. 頻繁に買い替えをせずに済む
エコキュートの故障部位によっては、修理代が高額になることをご説明しました。
ちなみに15万円など高額な修理代が必要となった場合でエコキュートが8年前後経過したものである場合、業者によっては買い替えを勧めてくる場合もあります。
多くの方がそれならと10年を待たずして買い替えしているようです。
しかしこれではエコキュートが他の給湯器より長寿命だというメリットがありません。
10年保証を存分に活用して頻繁な買い替えを防ぐことでも、トータルの出費を抑えることが出来ます。
エコキュートを長く使うには
故障のリスクが常にあるとはいえ、エコキュートは長く活躍してもらいたいですよね。実は日々の使い方でエコキュートの寿命を伸ばすことも出来ます。
最後にエコキュートの寿命を伸ばすポイントを確認していきましょう。
5-1. 日々の掃除をしっかりと行う
お風呂の給水口や配管のお掃除をしっかりと行うだけでもエコキュートの劣化は防げます。
特にこの配管は使用後のお湯が通る配管でもあるので汚れやすい傾向にあります。
汚れが沈着してしまうと詰まりの原因になることもあるので、専用の薬剤で定期的に洗浄しましょう。
5-2. タンク内の水を定期的に排水する
貯湯タンクの底には、徐々にですが汚れが沈殿していきます。これは底にある排水栓を開けることで簡単に流すことが出来ます。
汚れをそのままにしておくと、新しいお湯で湯はりをしても湯垢のようなものが浮いてくるなど非常に不衛生です。
直接的な故障の原因にはなりにくいものですが、定期的に気にかけるようにすると良いでしょう。
5-3. 逃し弁や漏電遮断器の点検を行う
逃し弁や漏電遮断器の動作点検は自分でも行うことが出来ます。
これらが正常に動かなくなると、エラーが起きたりエコキュートの稼働が停止します。
点検方法は説明書に全て記載があるので、定期的に確認しましょう。
5-4. 水漏れの有無を日ごろ確認する
水漏れは意外と気づかずに過ごしてしまう方も多いようです。
逃し弁の点検などと同時にタンク周りや本体周りの配管から水が漏れていないか、目視でチェックを行いましょう。
早期発見すればそれだけ簡単な修理で済むというメリットもあります。
5-5. 5年に1度程度は業者の点検を受ける
素人の点検だけではやはり分からない場所もあります。こうしたエコキュートの内部に関しては業者の点検にお任せしましょう。
おすすめの頻度は5年に1度程度。これは消耗部品が劣化し、交換が必要なタイミングとほぼ同時です。
有償の場合1万円程度でお願いできます。
10年以上エコキュートを万全の態勢で使い切りたい方は是非、こうした点検も視野に入れて下さい。
まとめ
エコキュートの10年保証についてご紹介しました。
エコキュートの寿命は使い方や点検の有無などで大きく変わります。
また、修理代も場所によっては馬鹿になりません。
最初は値段が高いと思うかもしれませんが、長い目でみて延長保証に入ることは非常に無難だといえるでしょう。