近年、高い省エネ性能で注目されているエコキュート。皆さんはその大きさの違いについてご存じでしょうか。
「導入してみたいけど、実際に何を基準にエコキュートの大きさを選べば良いかわからない…」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、何となくでエコキュートの大きさを決めてしまうのはかなりリスクを孕みます。エコキュートは電気代を大幅に節約してくれる給湯器ですが、ご家庭の人数や普段使う湯量に合わせて大きさを選ばないとあまり意味がないのです。
ここでは、世帯ごとの湯量とエコキュートの370L、460Lモデルに注目しご紹介していきます。この記事を読めば、どのモデルがあなたの家庭にとって適しているかが理解できることでしょう。
エコキュートのポイント
まずエコキュートの給湯の特徴をご紹介します。
1-1. 日々の使用湯量を学習
エコキュートには学習機能が搭載されています。
過去7日間で使用した湯量を記憶し、データとして保管。そしてそのデータに沿って翌日分のお湯を沸かすように出来ています。
エコキュートがお湯を沸かすのは基本的に夜間。そして沸き上げ開始のボタンをいちいち押さなくても、自動で深夜に稼働を始めます。
そのため翌朝には1日分のお湯がタンク内に貯まっているという便利なシステムです。
1-2. お湯の沸かし方をカスタムできる
エコキュートは基本的に自動で給湯を行います。しかし沸き上げ量の設定や、稼働時間などは細かくカスタムすることも出来るのです。
標準設定でも十分にエコな設計となっていますが、こうしたカスタムメニューを活用することによってより経済的な給湯が実現します。
例えば、いつもよりもお湯を節水したいという時は沸き上げ量を少なめに出来ます。ちなみに逆も然り。
さらに、お湯が足りなくなると日中に沸き増しを行うこともありますが、これを夜間のみに設定することも出来ます。
こうすると日中に沸き上げを行うことがなく、夜間電力のみで1日のお湯を賄えます。
1-3. お湯の温度が安定している
エコキュートはお湯を作り置きして、タンクに貯めておくという構造です。
タンク内部のお湯は、お風呂の適温ではなく60度以上の熱いお湯です。これを給湯するときに適温になるよう調節して、給湯してくれます。
このように既に一定の温度のお湯が貯まっているので、お湯を出ていて急に冷たくなることなどがありません。
お湯が出るまでの待ち時間は少々ありますが、基本的にお湯を出せば温度は一定です。体にも優しくストレスもかかりません。
一般的なお湯の使用量
それでは一般家庭において、どのくらいの湯量を必要とするのか平均値を見ていきましょう。
2-1. シャワー
シャワーはおよそ1回あたり50~80ℓのお湯を使うとされています。
そのため2人家族であれば100~160ℓ、4人家族であれば200~360ℓのお湯をシャワーで利用することになります。
また、1日にシャワーを2回浴びるという場合は1人でも2人分の湯量を消費することになります。
使う湯量には個人差がありますが、平均値がこの程度。女性や髪の長い方などは、100ℓを超えてしまう場合もあります。
使用湯量は多い方に合わせてみておいた方が無難でしょう。
2-2. 湯はり
湯はりを1回すると、およそ150ℓ~200ℓのお湯を使用することになります。浴槽の形状やサイズにもよりますが、一般的にはこの程度とされています。
シャワーのみ使用する方はこの湯量が0ということになります。
自宅の使用湯量を計算する場合は、1日1回湯はりをする想定で見積もると無難でしょう。
何人かで入ったとしても湯はり1回で済むのであれば、1日150ℓ~200ℓという計算です。
2-3. 洗面所と台所
意外とお湯を使っているのが洗面所と台所。
お湯を使うシーンは必ずしもお風呂だけではありません。顔を洗ったり料理をしたりするのにも、実は多くのお湯を使っています。
そんな洗面所と台所で使う湯量は、1日で130ℓ~150ℓとされています。
1人暮らしの場合は130ℓ程度で、大体4人暮らしであれば150ℓ程度という平均値です。
2-4. 家族ごとのお湯の使用量
これらの湯量を合算して、1日の使用湯量をシミュレーションしてみましょう。
計算方法は「シャワー+湯はり+洗面所と台所」です。
1人暮らしの場合…50+150+130=330ℓ
2人暮らしの場合…130+170+140=440ℓ
3人暮らしの場合…240+190+150=580ℓ
4人暮らしの場合…320+200+150=670ℓ
このように、世帯人数が増えるごとに100ℓ単位でお湯の使用量が増えていることが分かります。このような概算はエコキュート選びに役に立ちます。
370ℓと460ℓ型の違い
それではエコキュートの370ℓと460ℓの違いについて見ていきましょう。
3-1. お湯の供給量
370ℓと460ℓとありますが、これはエコキュートが作れるお湯の上限ではありません。
370ℓのエコキュートであれば、その約1.8倍である約650ℓのお湯が作れます。
460ℓのエコキュートであれば、その約1,6倍である約750ℓのお湯が作れます。
「370ℓでは我が家は到底足りない!」と思う方もいるかと思います。しかしこのように、エコキュートはタンクのサイズ以上のお湯を作れるのでご安心ください。
3-2. 適した世帯人数
となると、それぞれに適した世帯人数はどうなるでしょうか。
370ℓのエコキュートは1日650ℓのお湯を作れます。そのため先ほどの計算結果を適応すると、3人暮らしの580ℓ/日まではカバーできそうです。
お湯を節水してうまく活用できる家庭であれば、4人家族でもギリギリ対応できる可能性もあります。
また、460ℓのエコキュートは1日で約750ℓのお湯を作れます。これなら4人暮らしの670ℓという使用量も軽々とカバーできそうです。
5人、6人家族でもこのエコキュートで対応できるでしょう。
また、460ℓのエコキュートでも対応しきれないという場合はそのさらに上の550ℓといったモデルもあります。
おさらいすると、370ℓは1~4人家族に対応。460ℓは4~6人家族に対応しているということになります。
3-3. 電気代
では370ℓと460ℓで電気代はどの程度変わるのでしょうか。
結論から言うと、本体の違いによって電気代が変わることはあまりありません。
例えば同じ三菱のスタンダードモデルのエコキュートを想定し、360ℓのものと470ℓのものを用意したとしましょう。
使用するのはどちらも4人家族で同じ湯量。すると、月々の電気代はほぼ同じになるのです。
では何が電気代を上下させるのかというと、使用するお湯の量です。
どちらのモデルにしても、結果的に電気代を決めるのはお湯の量ということです。
3-4. 本体価格
ランニングコストは変わらなくても、本体価格にはやはり差があります。
メーカーやシリーズによっても価格が変わるので一概にはいえません。
しかし平均して460ℓの方が、370ℓよりも5万円~15万円程度の本体価格が高い傾向にあります。
もちろん460ℓは約90ℓも容量が大きいので、タンクのサイズも大きくなります。
さらにそれだけの湯量に対応できるシステムが搭載されているので、本体価格が高くなるのも頷けますね。
エコキュートを選ぶその他のポイント
エコキュートを選ぶポイントは貯湯タンクの容量だけではありません。その他のポイントで、重要なものをご紹介していきます。
4-1. 機能
エコキュートの検討で一番に行うべきは機能の選択です。
エコキュートは大まかに以下のような3種類に分けることが出来ます。
- 給湯専用タイプ
- セミオートタイプ
- フルオートタイプ
1.から3.にいくほど多機能になります。
1.は湯はりのみの機能を持つエコキュート。
2.それに自動での湯はりストップ機能などがついたエコキュート。たし湯なども出来ます。
3.は追い炊きをはじめとする便利機能がついたもっともハイテクなエコキュートです。
4-2. 形状
エコキュートは角形・スリム・薄型の3種類があります。
角形は一般的なエコキュートの形状で、奥行きもあります。
スリムは横幅が狭くなり、縦に長いエコキュートです。
また、薄型はさらに奥行きも狭くしたエコキュートです。
設置場所に合わせて形状を選ぶのも一つのポイントとなります。
4-3. 使用環境
寒冷地や海沿いの地域の場合、スタンダードなエコキュートでは使用できない場合があります。
冬季にマイナス25度を越える地域の場合、エコキュートの凍結のリスクが高くなるので寒冷地仕様のエコキュートの導入がおすすめです。
また、塩害が発生する海沿いの地域では耐サビ加工の高い耐塩害エコキュートを導入するとよいでしょう。
他にも、井戸水対応エコキュートなどイレギュラーなケースにも対応できるモデルが複数発売されています。
節水のコツ
最後に、月々の電気代を抑えるコツについてご紹介していきます。
5-1. 設定温度をほどほどに
エコキュートの設定温度を高くしすぎると、それだけ電気を消耗します。
エコキュートはお風呂の沸き上げに電気を使うほか、保温にはタンク内のお湯の熱を利用します。
そのため、お風呂を高温でキープするとなると貯湯タンク内のお湯の温度がどんどん下がってしまうのです。
これはかえって効率が悪いので、最初からほどほどの湯音設定をおすすめします。
5-2. 追い炊きを最小限に抑える
エコキュートの追い炊きは電力消費の代表格です。
極力追い炊きをしないのがベストですが、するのであれば追い炊きではなく「高温たし湯」という絹尾を使う方が良いでしょう。
いちいちタンクと浴槽内の熱交換をすることなく、高温のお湯を浴槽内に足すだけなので電力もそこまで食いません。
5-3. シャワーを出しっぱなしにしない
節水の第一条件として、シャワーの出しっぱなしを控えることが重要です。
意外とやってしまいがちなシャワーの出しっぱなし。顔を洗っているときの水道の水なども同様です。
こうしたときにこまめにお湯を止めることによって、大幅な節水になります。
5-4. 長期間使わない場合は電源を切る
エコキュートは稼働を切らないと、家にいないときでも翌日分のお湯を作ります。これは非常にもったいないことです。
旅行や出張などで長期間家を空けるという時には、エコキュートの電源をしっかり落とすようにしましょう。
5-5. 節水型のシャワーに変える
シャワーヘッドを取り換えるだけで節水が出来るという魔法のようなアイテムもあります。
水量の感覚はそのままに、節水効果が得られるシャワーです。本格的に節水をしたい方は是非お試し下さい。
まとめ
エコキュートの370ℓと460ℓの違いについてご紹介しました。
エコキュートの導入において最も重要なのは、自分の家に適したものを選ぶということです。
使用湯量などもしっかりと計算したうえで、是非ベストなエコキュートをご購入くださいね。