エコキュートは近年注目を浴びている、エコ性能の高い給湯器です。皆さんは、エコキュートにトラブルが起きたら、どのように対処すべきかご存知でしょうか。
実際、「故障してしまったらどうすればいいかわからない…」といった方も多く見受けられます。
しかし、トラブルが起きた時のことを詳しく知っておかないと、後々パニックになってしまうことも。エコキュートは電気代節約や環境への配慮が高く評価されていますが、故障するとかなり危険なパーツもあります。それが「減圧弁」。
ここからは、減圧弁とはどんなパーツなのか、修理にかかる費用や日数をご紹介していきます。この記事を読めば、エコキュートをより安全に使用する方法が理解できることでしょう。
エコキュートの特徴
まずはエコキュートの特徴について簡単にご説明していきます。
1-1. ヒートポンプユニットと貯湯タンクで構成
エコキュートは、大きく2つの装置から出来ています。
1つめはヒートポンプユニットという熱を作り出す装置。
2つめは貯湯タンクという、お湯を貯めておく装置です。
これら2つが連動することによって、効率よくお湯を沸かすことが出来ます。
ちなみにエコキュートの稼働は基本的に夜。夜間電力を利用して低コストでお湯を作り、翌日に向けてタンクにお湯を貯めておくのです。
1-2. つくったお湯を貯めておける
給湯器には、「瞬間式」と「貯湯式」の2種類が存在します。
瞬間式は蛇口をひねった時から水を引いて来て、瞬間的にお湯に帰るという給湯器です。
一方でエコキュートが含まれる貯湯式の給湯器は、あらかじめ大量のお湯を作ってタンクに貯めておくことが出来ます。
これにより、いつでも安定したお湯を出すことが出来るというメリットがあります。さらに、万が一の時にはタンク内のお湯が使えます。
1-3. 15年の長寿命
エコキュートの寿命は10年~15年とされています。これは今ある給湯器の中でもかなり長い方といえるでしょう。
ちなみに電気温水器は10年程度、ガスや灯油式の給湯器は5~8年程度とされています。
このようにエコキュートはかなり長持ちしますが、その一方で定期的なメンテナンスが必要になります。消耗部品もあるので、5年に1度は専門業者に点検を依頼したいところです。
貯湯タンクの消耗部品
エコキュートには比較的寿命が短いとされている、消耗部品も多く使われています。特に貯湯タンクの消耗部品はそれぞれが重要な役割を担っているのが特徴。
ここからは定期的に交換の必要な消耗部品について見ていきましょう。
2-1. 減圧弁
エコキュートはタンク内が常に水とお湯で満たされているということをご説明しました。
これはどういうことかというと、常にタンクがパンパンになっているということです。
また、水は熱を加えると温度が上昇し、体積が膨張します。
このときにタンクにかかる圧を調節する役割を持っているのがこの減圧弁です。
温度が下がるときも同様。タンクへの負荷を抑えてくれる重要な部品です。
2-2. 安全弁
万が一の時にタンクの破損を防ぐための部品です。減圧弁が故障した場合や、機能しなくなった時、この安全弁が働きます。
具体的にはタンク内の圧を外に逃がすため、水を外に出します。そのため、別名「逃し弁」とも呼ばれます。
この安全弁はエコキュートの最終的な安全性にもかかわるので非常に重要です。
タンクの上部に付いていることが多く、自分で作動の点検を行うことも出来ます。定期的なチェックが推奨されている部品です。
2-3. 漏電遮断器
万が一の時の漏電を防いでくれるのがこの漏電遮断器です。
タンク上部についていることが多く、有事の際にはこの遮断機が下りて稼働が停止します。
この部品が機能していないと、感電のリスクもあり大変危険です。
漏電遮断機は2~3年の手入れが推奨されており、マニュアルに従って自身で簡単に行うことが出来ます。掃除の際などに定期的にチェックするようにしましょう。
2-4. その他
その他にもタンク周辺の消耗部品はあります。
例えば配管に使用されているパッキン。こういった細かい部品も、5年程度で激しく摩耗します。
基本的にはマニュアル通りの点検を自ら行うことによって突然の大きな故障は免れることが出来ます。
そしてさらに5年に1度程度は専門業者による点検を行い、こうした消耗部品を取り換えてもらうようにしましょう。
減圧弁とは
タンクの重要な部品でもある減圧弁について、詳しく見ていきましょう。
3-1. 減圧弁の役割
減圧弁の役割は簡単にいうとタンクの破裂を防ぐことです。
エコキュートの貯湯タンクのように、水をためているタンクに関しては圧力の規定が定められています。
内部が0.1Mpa以下の圧力になるよう、常に調節しなくてはなりません。
また、0.2Mpa以上になると専門的な資格者が使用しなくてはいけないといった規定も存在します。
それだけ、圧力の高いものを扱うには危険が伴うということです。
3-2. 減圧弁の位置
減圧弁は基本的にタンクの中心から下についていることがほとんどです。タンクの外側からは見えないような構造になっている場合も。
減圧弁のチェックを行うには業者の点検が必要です。
3-3. 減圧弁の寿命
減圧弁の寿命は5年~7.5年とされています。
故障かな?と思っても、減圧弁を交換することで再び問題なく使えるようになることもしばしば。
減圧弁が故障すると危険な状況になるため、故障する前の定期点検と交換をおすすめします。
減圧弁が故障すると…?
それでは続いて減圧弁が故障するとどのような状態になるのか、ご紹介します。
4-1. お湯と水がでないケース
通常の沸き上げ異常であれば、お湯を出そうとすればお湯ではなく水が出てきますが、減圧弁が故障した場合はお湯も水も出ないケースがあります。
もし水もお湯も出ない場合やチョロチョロと少量しか出ない場合は、減圧弁の故障が考えられます。まずはお湯や水が出るかどうか試し、確認してみてください。
4-2. 安全弁が作動
減圧弁が作動しなくなると、当然ながら貯湯タンク内の圧力が高まります。
そんな時に作動するのが安全弁(逃し弁)です。
貯湯タンク内の圧を減らす機能が二重構造になっているおかげで、減圧弁が故障してもすぐにタンクが破裂してしまうということはありません。
安全弁が作動することによって少しずつ貯湯タンク内の圧が抜け、危険ではないレベルに保つことが出来ます。
4-3. 水漏れが発生
では安全弁が作動するとどうなるのかというと、水漏れが起きます。
安全弁は内部の圧を逃がすために、少しずつ中の水を抜くのです。これにより、安全弁からは水がちょろちょろと流れてきます。
この場合はエコキュート自体が故障しているのではなく、安全弁がしっかりと作動している証拠です。
同時に減圧弁が壊れている可能性があるので、安全弁から水が出ている場合には圧力をコントロールできず、水すら出ないケースが大半です。そのため、同時に減圧弁の点検が必要となります。
4-4. タンク破損の恐れも
減圧弁と安全弁がどちらも機能しないという最悪の事態にはどうなってしまうのでしょうか。
考えたくもありませんが、貯湯タンクが膨張して変形したり、破裂します。当然ながら非常に危険なことです。
近所にも被害が及ぶ可能性が高いうえ、その回収にもかなり手間がかかることでしょう。
何よりエコキュートそのものを買い替えという形にもなってしまいます。
そのため少しのお金と手間をかけてでも、日常的な点検は非常に重要です。
水漏れの原因を特定するには
安全弁から水が漏れている場合、考えられるのは3パターンの故障です。
1つは減圧弁の故障、2つめは安全弁自体の故障、3つめは混合栓の故障です。
ここからは水漏れがどこの故障なのか判断するための手順についてご紹介します。
5-1. 水道メーターを確認
まずは水道のメーターが絶えず動いていることを確認します。
5-2. 専用止水栓をしめる
エコキュートの専用止水栓をしめます。この栓はタンクの下部の配管についていることがほとんどです。
詳しい位置については取扱説明書を見るか、メーカーのサイトで確認してください。
この栓をしめることで水漏れが止まれば、原因は減圧弁か安全弁の2つに絞られます。
5-3. 減圧弁か安全弁を交換
減圧弁と安全弁、どちらの故障かを判断するのは、素人では中々難しいことです。
ここまで水漏れの原因が絞り込めたら、あとは修理業者に両方の交換をお依頼するのが無難でしょう。
一方を交換すればどちらが水漏れの原因だったかは判断できますが、2つとも同じくらいの寿命を持つ部品なので一気に交換することをおすすめします。
上記以外の水漏れ
これまでご説明した部品以外の故障により、水漏れが起きる可能性もあります。ここからはその他の水漏れの原因について簡単にご説明していきます。
6-1. 配管の摩耗
単純に配管の一部が摩耗し、そこから水が漏れることがあります。
この場合は配管のつなぎめや、パッキンが摩耗することにより水漏れが起きます。
水漏れの起きた場所をよく確認し、本来水の出るような場所ではないところから水が出ている場合はこの可能性が高いでしょう。
ちなみにこのような水漏れの場合はパッキンの取り換えのみで修理が完了することもあれば、配管自体を交換する場合もあります。
6-2. ヒートポンプユニットの故障
貯湯タンクではなく、ヒートポンプユニットから水漏れする場合もあります。
ただしヒートポンプユニットには排水口がついており、そこから水が出ている場合は正常です。
それ以外の場所から水がしたたっており、明らかに結露ではない場合はヒートポンプユニットの故障を疑いましょう。
すぐに稼働を停止させて修理業者に連絡しましょう。
6-3. 単なる結露
ヒートポンプユニットや貯湯タンクの下が水たまりのようになっている場合があります。
しかしこれは水漏れではなく、結露である場合もあるのです。
ヒートポンプユニットも貯湯タンクも、外気温との差によって結露します。これが地面にたれて水漏れのように見えている場合も。
一点からボタボタと漏れているようでなければ、単なる結露である可能性が高いといえます。
6-4. 久々の使用
エコキュートを長期間利用せず、久々に使うと水が漏れてくることがあります。
これはタンク内の圧を一定に保つための排水です。
しばらく様子を見て水が止まるようであれば、水漏れではないのでそのまま使用できます。
減圧弁の修理
最後に減圧弁を修理するときの費用や日数についてご紹介していきます。
7-1. 修理費用
減圧弁の修理費用は、部品の交換で15,000円〜30,000円が相場です。
この金額の幅はメーカーにより、価格設定が違うことによります。また、修理業者によっては出張費などが加算される場合もあります。
予期せぬ出費にならないよう、お近くの修理業者の料金体系を事前に確認しておきましょう。
7-2. 修理日数
減圧弁を取り換えるだけであれば、数時間の作業で完了します。
ただし部品の取り寄せなどに時間がかかるとなると、少々修理に時間を要することも。
故障が確認できた時点で詳しく状況を伝え、早急に対応してもらうのがベストです。
ただし、10年以上経過しているエコキュートの減圧弁の修理の場合、メーカーからの部材の供給がなく修理できないケースも珍しくありませんので確認しておきましょう。
まとめ
減圧弁についてご紹介しました。
中々エコキュートの細かいパーツにまで注目することはないかと思います。
しかし減圧弁は特に安全面でも重要な役割を担う部品の一つ。
万が一に備えて日常的にしっかりとメンテナンス、点検を行いましょう。