近年、従来の給湯器から新しくエコキュートに入れ替えをする世帯が増えています。皆さんは、エコキュートの入れ替えにかかる工事や費用などをご存じですか?
実際、「まだまだ使えそうだし、入れ替えのことなんて考えたことがない」という方が大半ではないでしょうか。
しかし、既存の給湯器が壊れていなくても、入れ替えを検討することはおすすめです。いざ壊れてから「早く入れ替えをしなくては」と焦る気持ちが大きくなり、あまり深く検討せずに判断をしてしまいがちです。その前に入れ替えを検討しておけば、時間にも余裕が生まれるのです。
ここからは給湯器をエコキュートへと入れ替えるときのポイントや注意点を詳しくご紹介していきます。この記事を読めば、あなたにとって効率のよい入れ替え方法が理解できることでしょう。
他の給湯器からエコキュートへ入れ替えるタイミング
従来の給湯器からエコキュートへと入れ替えを行うタイミングはおおよそ3種類あります。
1-1. 給湯器が故障したとき
まずは既存の給湯器が故障した時です。この場合、お湯が出なくなってしまうこともあるので給湯器の修理や入れ替えが急務となります。
もし既存の給湯器がかなり長い年月使っているものであれば、修理せずに入れ替えを検討する方も多いでしょう。
給湯器は年数が経つと保証期間が過ぎ、修理するための部品の在庫がどんどんなくなっていきます。
そのため、給湯器が故障した時は思い切って長寿命なエコキュートへ入れ替えを行うのも手です。
1-2. 給湯器の保証期間が終了した時
既存の給湯器が壊れていなくても、入れ替えを検討するのはおすすめです。
壊れてからでは「早く入れ替えをしなくては」という気持ちが大きくなり、焦って判断をしてしまいがちです。
壊れる前に入れ替えを検討しておけば時間にも余裕が生まれて良いでしょう。
そのタイミングは、保証期間が過ぎた頃がベスト。保証期間内であれば故障しても無償で修理してもらえるので、入れ替えをする必要もありません。
1-3. 家をリフォームする時
続いて家をリフォームするときの入れ替えです。
エコキュートにおいては大規模な工事を伴う場合もあるので、リフォーム会社でも取り扱いしている場合があります。
特に太陽光発電システムや、IHの導入と共にエコキュートへ入れ替える方は多数。
ソーラーとエコキュートを連携させることによってより高効率に給湯が出来るのです。
ちなみにこうしてリフォームと同時にエコキュートを入れ替えれば、一度の手間で済むので手続きも非常に楽です。
入れ替えるエコキュートの種類
エコキュートへ入れ替えるといっても、エコキュートには種類があります。ここからは3種類のエコキュートを詳しくご説明していきます。
2-1. 給湯専用エコキュート
1つは給湯専用エコキュートと呼ばれるものです。これはその名の通り、給湯に特化したエコキュートで非常にシンプル。
蛇口から直接熱いお湯を出して、直接お風呂に入れるタイプです。ちなみに保温や追い炊きは一切できません。
エコキュートの中で最も機能が絞られているタイプなので、値段も一番低いのが特徴です。また取り付けも簡単で、工事費の節約にもなります。
2-2. セミオートエコキュート
続いてはセミオートタイプのエコキュート。こちらは給湯専用エコキュートに、たし湯などといった機能がついたものです。
追い炊き機能はないものの、高温でたし湯をすることで代用できます。給湯専用タイプとフルオートタイプの中間の機能をもつエコキュートです。
ちなみに本体価格も、中間程度。工事費は給湯専用タイプとそこまで変わらず、比較的安い傾向にあります。
使える機能が限られているので、電気代の節約にはもってこいです。
2-3. フルオートエコキュート
エコキュートの中で最も売り上げが多いのがこのフルオートタイプ。
給湯から追い炊きまで全てボタン1つでOK。最も自動的にできる機能が多いエコキュートといえるでしょう。
何かと便利なフルオートタイプは、場合によっては床暖房や太陽光発電と連携することも可能。
ライフスタイルをよりよくしたいという方にはおすすめです。もちろん機能が多い分、値段も張ります。
工事費も他2つのエコキュートと比べて、手間も時間もかかるのが特徴です。
入れ替えにかかる費用と工事
続いて、実際にエコキュートを入れ替えた場合の費用や工事内容についてご紹介していきます。
3-1. 本体価格
エコキュート本体の値段はかなり高いとされていますが、近年の相場は下落傾向です。
どんどん手の出しやすい価格になっており、およそ15~45万円で購入することが出来ます。
給湯専用エコキュートが最も安く、他の給湯器との価格差も少ないです。一方、フルオートタイプは多機能なのでその分値段が高い傾向にあります。
3-2. 工事費
エコキュートの入れ替えをする場合にかかる工事費は、15万円程度とされています。
ただしこれは「標準工事」と呼ばれるもので、エコキュートの設置に必要な最低限の工事です。
場合によっては「追加工事」と呼ばれる工事が必要になることも。
既存の給湯器の状態や、設置環境によってはさらに料金が上乗せになる可能性もあることを視野にいれておきましょう。
3-3. その他費用
エコキュートを導入する際、既存の給湯器を撤去して処分してもらいます。この処分費にも追加料金がかかることがしばしば。
またエコキュートの搬入に特殊な車両を使った場合や、遠方から業者が出張で来た場合なども料金が発生することがあります。
他には電気代の契約を販売会社に代行してもらう分の料金など、追加でかかる料金は様々。
こうしたイレギュラーな料金もしっかり加味した見積りをもらうようにしましょう。
見積りの明細に不明な点があれば、すぐに販売会社に問い合わせることをおすすめします。
3-4. 工事の内容
エコキュートの入れ替えにかかる工事は5ステップ。
以下の通りです。
- 既存の給湯器の撤去
- エコキュートの搬入・設置
- エコキュートの組み立て
- 電気配線の整備
- 既存給湯器の処分
基本的な流れは上記の通りですが、工事にかかる手間や日数は条件により少々異なります。
元々の浴槽に追い炊き用の配管が無く、そこからフルオートタイプに変更する場合は管を1本増やす必要があるのです。
浴槽や壁に穴をあけ、追い炊き用の配管を通すので工事は2日ほどかかります。
一方、こうした工事が無ければ4~7時間程度で入れ替えが完了します。
エコキュートに入れ替える前のチェックポイント
給湯器をエコキュートに入れ替える前に、チェックしておきたいポイントについてご紹介します。
4-1. 電気代の試算
エコキュートは電気代の安さを押し出していますが、それは夜間に深夜電力を利用して稼働するためです。
日中に沸き増しを余儀なくされるような場合は、ガス給湯器の方が安い場合も。
例えば日中に料理や食洗器などでお湯をたくさん使う家庭や、朝と夜どちらにもお風呂に入る方などが挙げられます。
ガスは日中に使っても比較的基本料金が安いのが特徴です。石油や灯油も同様。
電力にエネルギーを一本化することで果たして光熱費が安くなるのかは、家庭によるのです。
電気代の試算が出来るサイトもあるので是非、ご自身のライフスタイルにエコキュートが合うのかどうか確かめてみて下さい。
4-2. 設置場所の確保
エコキュートは設置場所を広くとるのが特徴です。
大きな貯湯タンクと、エアコンの室外機のような本体。これらを近づけて置ける場所が無ければエコキュートは設置できません。
特に困るのがマンションです。ベランダをエコキュートが埋めてしまっては洗濯物も干せません。
エコキュートを置けそうなスペースがあるか、まずは確認しましょう。
4-3. 入れ替えたいエコキュートの機種
先ほどエコキュートの機能別に種類の説明をしましたが、エコキュートを選ぶ観点はそれだけではありません。
例えば貯湯タンクの容量も自宅に最適なものを選ぶ必要があります。370ℓ容量のものなのか、460ℓがふさわしいのか。
また、住んでいる地域によっては寒冷地仕様のエコキュートが必須になる場合も。
さらにはメーカーによって機能が異なるのでそこも判断のポイントです。
このように、数多くのエコキュートから自分の欲しいものを絞り込む必要があります。
4-4. 複数の見積もりを比較
エコキュートの機種やメーカーに目星がついたら、複数社から見積もりをもらいましょう。
最も安いお店を判断できるだけでなく、相見積もりは値引き交渉にも使えます。見積りの提示に際して、親切だったお店を選ぶのも良いでしょう。
顧客への対応や態度は非常に重要です。
4-5. 貯金
エコキュートの入れ替えにはもちろんお金がかかります。入れ替えを検討しだすと同時に、ある程度の貯金を確保しなくてはいけません。
エコキュートへの入れ替えは総額50万円~70万円程度でできるとされています。
また万が一他の追加料金がかかることも加味して、それ以上に貯金をしておくことをおすすめします。
もし総額を抑えたいようであれば給湯専用のエコキュートが最も安価です。
初めて給湯器をエコキュートに入れ替える時の注意点
初めてエコキュートへ入れ替えする時には、思わぬ落とし穴があることも。事前に知っておきたい注意点についてご説明します。
5-1. ブレーカーを交換する可能性がある
エコキュートの電源を引くときに、自宅のブレーカーが対応できない場合があります。
この場合はブレーカーを丸々交換したり、追加したり、中野配線を組み替えるなどの作業が必要となるのです。
これは追加料金に含まれることが多数。ただ一度行ってしまえば、次からは不要な工事です。
5-2. 地盤の緩さを指摘される場合がある
エコキュートの貯湯タンクは、倒れないように強い耐震設計をしてあります。
また、エコキュートは直接地面に置くのではなく専用の土台の上に据え付けられるようになっています。
しかしそれでも地盤が緩く、倒壊の恐れがある場合はそこからさらに耐震強度を補強する工事を行う場合も。
例えば地面だけでなく、壁とエコキュートをなどといった工事を行う場合もあります。
5-4. 稼働音が近所迷惑にならないよう配慮する
意外と盲点なのがエコキュートの稼働音です。エコキュートは通常の給湯器よりもかなり小音設計なのが特徴。
しかし稼働するのが夜なので、どうしても気になる方は一定数いるようです。そしてそれがご近所トラブルになるといったこともしばしば。
近隣の住宅の近くや、自宅の寝室近くに設置するのは控えた方がよいでしょう。
5-5. 取り付けの際は自身でも点検を
取り付けは基本的に業者が行いますが、自身で装置や電源、栓の位置を覚えるためにも設置後に点検を行うことをおすすめします。
この作業は点検の他にも、初期不良を防ぐという意味もこめられています。業者の設置が甘かったりすると、設置すぐにエラーが出ることも。
こうした事態を防ぐために、自身でも点検を行いましょう。
まとめ
エコキュートの入れ替えについてご紹介しました。
中々不安の多いエコキュートの新規購入ですが、ポイントを抑えればそこまで法外な価格になることはありません。
工事についても適切な業者選びに注意すれば、適正な価格でしっかりと設置してくれるはずです。
事前の準備をしつつ、計画的な入れ替えをおすすめします。