2001年に発売された「自然冷媒ヒートポンプ給湯器」こと「エコキュート」。皆さんは、エコキュートが一体どのような大きさがあるか、ご存じでしょうか。
実際のところ、「便利で良さそうな感じはするけど、サイズについては想像がつかない…」という方もいらっしゃいます。
しかし、エコキュートのサイズを知らずに導入するのはおすすめしません。エコキュートは便利な給湯器でありながら、装置がかなり大きい場合があり、ご家庭の置く場所によって適するサイズが違うのです。
ここからは、エコキュートの貯湯タンクの種類についてご紹介していきます。この記事を読めば、どのサイズのエコキュートがあなたにとって最適なものかが理解できることでしょう。
エコキュートとは
まずはエコキュートのメリットとデメリットについて、簡単にご説明します。
1-1. エコキュートのメリット
エコキュートのメリットはなんといっても節約効果が大きいことです。
エコキュートは夜をメインに稼働し、安い深夜電力を有効活用できます。そのため、日中にお湯を沸かすよりもうんと電気代を節約できるのです。
また電気で動くので環境にやさしいというメリットもあります。ガスや灯油とは違い、火事の元になるリスクも少ないことで人気。
さらには学習機能や自動湯はりなどといった便利機能で、快適なお風呂の時間をサポートしてくれます。
1-2. エコキュートのデメリット
エコキュートのデメリットは大きく2つあります。
1つは初期費用が高いこと。
発売当初よりも安くなってはいるものの、依然として他の給湯器と比較すると最低でも10万円以上は差がついてしまいます。
そして2つめは装置自体が大きいことです。特にマンションなどでは置くスペースが限られるので、この問題は重要です。
エコキュートの装置
エコキュートにはどのような装置が必要なのか、もう少し詳しく見ていきましょう。
2-1. 貯湯タンクとヒートポンプユニット
エコキュートは主に2つの装置から構成されています。
1つはヒートポンプユニットと呼ばれる装置です。これはエコキュートの心臓ともいえる本体。
ここでお湯を沸かす時に必要な熱を作り出します。そして水にその熱を加えることでお湯を作り出すのです。
一方、もう1つの装置は貯湯タンクというもの。
これは作り出したお湯を貯めておく装置です。つまりヒートポンプユニットで作ったお湯を、貯湯タンクに貯めておくという流れです。
そして必要に応じて、貯湯タンクからお湯が蛇口に供給されるという仕組みになっています。
2-2. 貯湯タンクの役割
貯湯タンクは夜のうちに深夜電力を活用して作ったお湯を貯めておきます。
夜のうちに翌日分のお湯を作るので、その量は家族1日分のお湯ということになります。そのため貯湯タンクにはかなりの容量が必要なのです。
ちなみに貯湯タンクは常に満水の状態を保っています。
上部に高温のお湯がたまり、中層にはぬるいお湯、そして下層には水がたまっている仕組みです。
常に一定量のお湯がある状態を保ち、貯湯タンクは稼働しています。
2-3. 色々な種類
貯湯タンクは容量に応じて色々なサイズがあります。
一般的には2~4人家族の場合370ℓ、4~6人家族の場合は460ℓ容量の貯湯タンクが付いたエコキュートがおすすめです。
さらに、貯湯タンクの形にも様々なものがあります。一番ベーシックなものは角形タイプと呼ばれるもの。
設置場所に奥行きがないお家には薄型、幅がないお家にはスリムタイプなど、置き場所に応じて貯湯タンクのタイプを変えることも出来ます。
角形タイプ
まずは一番ベーシックな角形タイプから見ていきましょう。ここでは370ℓのエコキュートを例にサイズをご紹介していきます。
3-1. サイズ
メーカーによってサイズは少々異なりますが、一般的には以下のようなサイズです。
高さ 約1,830~1,860mm/ 幅 約630~650mm/ 奥行き 約730~750mm
このように、幅と奥行きの長さはそこまで変わりません。底面の形はほぼ正方形のようになり、高さが必要になります。
ちなみにこれは370ℓ容量の一般的な貯湯タンクサイズです。
460ℓ容量のものになると、低面積は変わらず高さが高くなる場合が多い傾向にあります。
具体的には300mm~350mm、貯湯タンクの高さが高くなります。
3-2. 対応容量とメーカー
この一般的なタイプのエコキュートは、360ℓ・370ℓ・460ℓ・540ℓなどあらゆる容量に対応しています。
どこのメーカーでも販売している最も一般的なタイプなので、自分の家に合った容量のものを見つけやすいというのが特徴です。
薄型タイプ
続いて奥行きのない設置場所に最適な薄型タイプを見ていきましょう。
4-1. サイズ
370ℓの場合の薄型貯湯タンクサイズは以下の通りです。
高さ 約1,810~1,840mm/ 幅 約1,075~1,090mm/ 奥行き 約440~460mm
角形と比較して約300mmの奥行きがカットされた構造となっています。
その代わり、幅が約400mm広がっていることが分かります。
つまり貯湯タンク全体が非常に薄っぺらいので、幅と高ささえあれば設置できるというタイプのモデルです。
4-2. 対応容量
薄型タイプのエコキュートを販売しているメーカーは角形と比較して、絞られます。
370ℓおよび460ℓの薄型を販売しているのはパナソニックとダイキン・コロナがメインとなっています。
どちらか一方、もしくは他のサイズで薄型タイプを展開しているのは東芝、三菱電機など様々なメーカーがあります。
薄型タイプは比較的大手メーカーにも注目されており、開発が進んでいるモデルといえるでしょう。
低背タイプ
高さがない設置場所に最適なエコキュートがこちらです。底面は角形タイプのものを採用し、高さを抑えたモデルです。
5-1. サイズ
このタイプは、パナソニックの300ℓ容量のもののみとなります。
高さ 約1,530mm/ 幅 約600mm / 奥行き 約680mm
低面積はそのままに、高さだけをカットしています。
ちなみに通常の370ℓ角形タイプと比較して、約300mmの高さカットに成功しています。
370ℓも容量が要らず、置き場所の高さも低いといった家庭にはピッタリです。
5-2. 対応容量
このタイプはパナソニックの300ℓ容量のみとなります。
もっと容量が必要で、かつ置き場所が狭い場合は薄型タイプかもしくはこれからご紹介するスリムタイプ・コンパクトタイプをおすすめします。
スリムタイプ
続いて低面積そのものを小さくしたスリムタイプです。
容量自体も少々小さくはなりますが、ベーシックな角形タイプよりは格段に省スペースなエコキュートです。
6-1. サイズ
スリムタイプのエコキュートはコロナが発売しています。
タンク容量は300ℓ。貯湯タンクサイズは以下の通りです。
高さ 約1,870mm/ 幅 約600mm/ 奥行き 約610mm
370ℓの角形タイプと比較すると、幅と奥行きがコンパクトになっていることが分かります。縦に細長いタイプのエコキュートです。
6-2. 対応容量
このスリムタイプを販売しているのはコロナのみです。
ここでご紹介したタンクの容量は300ℓで、通常のものより少々少なめ。
この容量は2~4人の家庭に対応しています。
それでは容量が足りないという場合は、460ℓのスリムタイプもコロナより発売されています。
その場合は奥行きと高さが若干増加してしまいますが、幅をそのままにタンク容量をアップさせることも出来るのです。
コンパクトタイプ
続いて容量もサイズも全体的に絞ったコンパクトタイプのエコキュートを見ていきましょう。
7-1. サイズ
コンパクトタイプのエコキュートは容量が様々です。まずはパナソニックの195ℓ容量のサイズをご紹介します。
高さ 約1,890mm/ 幅 約440mm/ 奥行き 約560mm
これは2~4人の家庭に対応しており、全体的に非常にコンパクトです。
続いて三菱の180ℓ容量のタンクサイズをご紹介します。
高さ 約1,830mm/ 幅 約430mm/ 奥行き 約630mm
これもまた少々容量が小さい分、省スペースで設置できます。
ちなみにこういったエコキュートは「ライトタイプ」などとも呼ばれます。
7-2. 対応容量
各メーカーがそれぞれ販売しているコンパクトタイプのものは、決まった容量がありません。
そのため180ℓのものや195ℓのものといった、微妙に違う容量が出回っています。
特に1人暮らしや2、3人で生活するのであれば、こうしたモデルでも申し分なく使えるでしょう。
中には通常の370ℓ容量の貯湯タンクを置くスペースだけでタンクも本体も入ってしまう程コンパクトなモデルもあります。
タンクを設置できない場所
タンクを設置する場所には色々な条件があります。
ここからは購入する前に知っておきたいタンクを設置できない場所の条件についてご紹介していきます。
8-1. 火気のある場所
火気のある場所にエコキュートを置くことは出来ません。また、引火する恐れのあるものも同様です。
エコキュートの本体の内部は非常に高温になります。
ちなみに貯湯タンクは本体から遠くに離して設置することは出来ません。
エコキュートを火の気のある所に置くと、火事の原因となってしまいます。
8-2. 水に浸かる場所
貯湯タンクが水に浸かってしまう場所も設置場所としてはNGです。
これは、タンクの配管や下部が水で腐食・劣化する可能性があるからです。
またタンクの排水に差支えがある場合もあります。
思わぬ故障やトラブルの原因になりかねないので、設置場所には水はけの良い場所を選びましょう。
8-3. 防水・排水のできない場所
防水・排水の出来ない場所も設置場所としてふさわしくありません。
タンクおよび本体は当然雨風にさらされても問題ないよう設計されていますが、日常的に水をかぶってしまうような場所だと話は別です。
さらに、タンクの洗浄時や本体からの排水などが出来ないような場所だと、故障が起きやすくなるというリスクも高まります。
極力乾燥しており、水はけの良い場所を選びましょう。
8-4. 水平に置けない場所
地面がでこぼこになっている場合も貯湯タンクを設置できません。
貯湯タンクは高い耐震設計がなされているものがほとんどです。しかしそれは水平な地面にしっかりと設置した場合の話。
水平でない地面では、倒れてしまうリスクが高くなります。
エコキュート設置時の注意点
その他にもエコキュート設置時の注意点があります。
9-1. 騒音を考慮する
エコキュートは夜間に稼働するので、その稼働音が気になってしまう方も中にはいます。
もちろんそれも考慮したうえで、エコキュートは静音設計になっていることがほとんどです。
しかし寝室などからは極力離れた場所に置いておくと無難でしょう。
9-2. 近所に迷惑がかからないようにする
大きなタンクと、ヒートポンプユニットから出る熱風と二酸化炭素がご近所迷惑になってしまうこともあります。
タンクが景観を乱すほど家からはみ出てしまう場合は、ご近所さんに一声かけておくのがよいでしょう。
さらに、ヒートポンプユニットからの排気が迷惑にならないよう、配慮することも大切です。
まとめ
エコキュートの大きさや種類についてご紹介しました。
メーカーそれぞれがエコキュートのコンパクト化に試みていることが分かりますね。
どうしてもお湯を貯めておく必要があるエコキュートは、タンクの大きさが気になります。
しかし家の設置場所に合わせて、スリムタイプやコンパクトタイプなどといったモデルを検討すれば解決するかもしれません。
是非ご自宅に合ったモデルを検討してみて下さいね。