エコキュートには、「薄型タイプ」という種類があります。皆さんは、薄型のエコキュートが「薄い」という以外にどのようなメリットがあるか、ご存知でしょうか。
実際のところ、「良さそうなイメージはあるけど、あまり詳しくは知らない…」といった方も少なくありません。
しかし、実際にエコキュートの特徴をあまり知らずに導入してしまうのはあまりよくありません。エコキュートはタンクにお湯を貯めておくという特性上、他の給湯器と異なり大きなタンクの置き場所がネックになる場合もしばしば。しかし、この薄型タイプを導入すれば省スペースで設置できるだけでなく、家の景観も損なわないといったメリットがあるのです。その反対に、デメリットも存在します。
ここからは、薄型エコキュートのメリットとデメリットについて解説。この記事を読めば、どのエコキュートがあなたにとって最適かが理解できることでしょう。
エコキュートには角型と薄型がある
まずは通常の角型エコキュートと、薄型エコキュートの違いについて見ていきましょう。
1-1. 一般的なのは角型タイプ
販売されている多くのエコキュートは、「角型タイプ」と呼ばれるものです。底面が正方形に近く、縦に長いタンクが特徴。
三菱電機やダイキン、コロナなどさまざまなメーカーから販売されています。
タンク容量は3~4人用の370L,4~5人用の460L、5~7人用の550L、といったラインナップがメインです。
また、容量だけでなく給湯の機能や塩害地・寒冷地に対応した仕様など、使う人のニーズに合わせたさまざまなモデルが登場しています。
1-2. スリムな本体が特徴的な薄型タイプ
薄型エコキュートとは、「場所を取る」という角型エコキュートのデメリットを克服するために作られた商品です。
タンクの底面は長方形になっており、幅や奥行きが短く設計されています。
今まで設置場所を確保できないためにエコキュートの設置を諦めていた人も、薄型ならベランダなどのちょっとしたスペースに置けるのが特徴です。
角型エコキュートを販売するメーカーの多くは、あわせて薄型エコキュートも販売しています。
薄型エコキュートのメリット
薄型エコキュートのメリットはコンパクトなだけではありません。他にはどんなメリットがあるのか、見ていきましょう。
2-1. 設置場所を取らない
まず最大のメリットは、設置場所を取らないということです。
今までの角型エコキュートは、底面が正方形に近いことからちょっとしたスペースにフィットさせて設置するのが難しいというデメリットがありました。
しかし、薄型エコキュートは物干しスペースを確保したままベランダの隅に設置したり、家の裏手にあるちょっとしたスペースにも配置したりできます。
2-2. 家の景観を損なわない
薄型エコキュートはスマートな形状をしているため圧迫感が少なく、家の景観を損ないません。
特に玄関先や庭、軒先などに設置する場合、エコキュートがどうしても目についてしまいます。
このとき角型でなく薄型エコキュートなら、そこまで存在を主張しないでしょう。本体がスリムなので、スタイリッシュに設置できるのが特徴です。
2-3. 設置場所のバリエーションが広がる
本体がスリムなことで、薄型エコキュートはさまざまな場所に設置できます。
たとえばマンションで暮らす人の場合、サービスバルコニーなどちょっとしたスペースに設置できるのが魅力です。
また、隣の家との間にあるちょっとした空間にフィットさせることも可能。
狭い隙間にも入れられる形状なので、設置場所のバリエーションが広がります。必ずしもベランダや庭が広くなければ設置できない、ということはありません。
2-4. 搬入が楽
薄型エコキュートは、角型エコキュートに比べて設置の際の搬入も楽です。
設置しにくい場所や狭い場所を通してエコキュートを運ぶ際、取り付け業者は別料金を取る場合があります。
薄型エコキュートは本体そのものがスリムなため、こうした追加料金が発生するリスクも少ないでしょう。取り付け工事もスムーズに行えるはずです。
薄型エコキュートのデメリット
薄型エコキュートには、デメリットもあります。購入してから後悔しないよう、デメリットもきちんと把握しておきましょう。
3-1. 選べる容量が限定される
薄型エコキュートは各メーカーから販売されていますが、角型に比べてタンク容量のバリエーションが少ないというデメリットがあります。
たとえばコロナでは、角型エコキュートで1~2人用の185Lという容量の商品があります。しかし、薄型エコキュートに185Lという容量の商品ラインナップはありません。
また、通常4~5人用のタンク容量は470Lですが、三菱電機の薄型エコキュートは430Lです。
タンクがスリムに設計されていることで、通常よりもやや容量が少なくなるというデメリットがあるのです。容量が少なくなるということは、湯切れのリスクも高くなるということです。
また、薄型エコキュートで500Lを超える容量のものは、ほとんどありません。1世帯6名以上の大家族の場合、薄型エコキュートは選びにくいでしょう。
3-2. 機能が限定される
薄型エコキュートは容量だけでなく、機能も限定されます。
たとえばダイキンの薄型エコキュートは、フルオートタイプの機種しかありません。フルオートとは、追い炊きからお湯張りまですべて自動でまかなう機能です。
エコキュートには機能が多い順にフルオート、セミオート、給湯専用という3種類に分かれ、フルオートは便利な反面価格が高くなる傾向にあります。
追い炊きや足し湯が必要ない場合は、セミオートや給湯専用タイプの商品を選ぶことでコストが抑えられるでしょう。
しかしダイキンの場合は薄型エコキュートにセミオートや給湯専用タイプがないため、選択の余地がありません。
このように、薄型エコキュートを選ぶと機能が限定されてしまう場合があります。
3-3. 仕様が限定される
薄型エコキュートを選ぶことで、仕様が限定される場合もあります。
エコキュートは特殊な使用環境にも対応できるよう、「塩害地仕様」や「寒冷地仕様」といった仕様の商品が販売されています。
しかし、薄型エコキュートはこうした仕様の商品がないこともしばしば。たとえばコロナの薄型エコキュートは、一般地仕様のものしかありません。
塩害のある場所や、冬に凍結のリスクが高い場所で無理に一般地仕様のエコキュートを使うのは、故障するリスクが高まるためおすすめできません。
3-4. 角型に比べて安定感が低くなる
薄型エコキュートの中には、底面積を小さくしてタンクを高く設計したものがあります。
たしかに底面積が小さい分、省スペースで設置できますが、同時に安定感が損なわれるというデメリットもあります。
基本的にエコキュートは基礎を作り、その上にしっかりと脚部を固定するため、ちょっとしたことで倒れる心配はありません。
しかし大地震が起きたときなどは、角型に比べて薄型エコキュートの倒れるリスクは高いでしょう。
別途オプションで耐震強度を高めるなどの対策を取っておくと、安心です。
3-5. 角型のよりも価格が高くなる
薄型エコキュートは、角型の商品に比べて価格が高くなる傾向があります。
たとえば三菱電機が販売している460L容量の角型エコキュート「SRT-S465A」のメーカー販売価格は91万5,000円(税別)です。
これに対し、430L容量の薄型エコキュート「SRT-S435UZ」は、107万5,000円(税別)。
どちらもフルオート式で、むしろ角型のほうが年間給湯保温効率は高いにも関わらず、容量のやや小さい薄型エコキュートのほうが15万円以上高いことが分かります。
初期費用の安さを最優先したい人は、薄型よりも角型を選んだほうが良いでしょう。
3-6. 買い替えの際に基礎からの工事が必要となる場合も
角型エコキュートから薄型エコキュートに買い替える場合、両者は底面の形やサイズが異なります。
そのため、そのまま使い回せる土台(基礎)も一から作り直す必要があるのです。当然基礎を作るには別途で工賃がかかります。
今の基礎を使えるかどうかは、取り付け業者に見積もりをもらう際に聞いておくと良いでしょう。
薄型エコキュートはこんな人におすすめ
薄型エコキュートは、こんな人におすすめです。ぜひご自身が当てはまるかチェックしてみてください。
4-1. 1世帯の人数が5名以下
薄型エコキュートは1世帯の人数が5名以下の家庭におすすめです。なぜなら薄型エコキュートは、角型よりも容量が少なくなる傾向にあるためです。
容量が大きくても400L台のものがほとんど。家族が6名以上いる家庭では、400L台のものだと湯切れを起こすリスクが高いといえます。
特に家族がまとまった時間にお風呂へ入る場合などは、なおさらです。
やや場所は取るものの、大容量の角型エコキュートを購入したほうが快適にお湯を使えるでしょう。
4-2. マンションに住んでいる
マンションに住んでいる人にも薄型エコキュートはおすすめです。ベランダや玄関先など、限られたスペースにぴったりとフィットさせて設置できるでしょう。
また、1人暮らしや2人暮らしなら「コンパクトタイプ」といった商品もおすすめです。たとえば三菱電機の180L容量を備えたコンパクトエコキュート「SRT-S184」など。
世帯人数に応じた必要容量、そして最適な形状から自宅に合った商品をお選びください。
4-3. 庭や家の外観を損ねたくない
「エコキュートは購入したいが、大きな給湯器が敷地内で目立つのは嫌だ」という人にも、薄型エコキュートはおすすめです。
奥行きの少ない薄型エコキュートを選べば、壁に沿ってひっそりと配置することも可能。
また、家の裏や側面など、エアコンの室外機と同じ感覚でちょっとしたスペースにも設置できます。
まとめ
薄型エコキュートのメリットとデメリットを解説しました。
薄型エコキュートは「タンクが大きすぎて邪魔になる」というデメリットを克服した商品です。
今までは場所がなく、エコキュートの設置をためらっていた人にもおすすめ。
ただし薄型エコキュートにはデメリットもあるため、メリットとあわせて検討した上で、購入を決めましょう。