日頃の疲れを癒してくれるお風呂はとても大切な時間ですよね。省エネ性能が高くオール電化住宅とも相性の良いエコキュートは、暮らしの重要な役割を担っています。しかし、皆さんはシャワーを使っている時に水圧の弱さが気になったことはあるでしょうか。
実際に、「シャワーを使っていると、水圧の弱さが気になる…」と言った声をお聞きします。
しかし、その理由や対処法を知らずにずっと使い続けてもあまり快適ではありません。確かに、エコキュートには「水圧が弱い」というデメリットがあり、「ガス式給湯器からエコキュートに乗り換えたところ、水圧が弱く使いにくくなった」といった声も。
ここからは、エコキュートの水圧を強くする方法を解説します。この記事を読めば、水圧が弱いというデメリットを克服し、節約上手なエコキュートを最大限に活用することができるでしょう。
エコキュートの水圧は弱い?
水圧は「KPa」という単位で示され、数値が高いほど強い水圧であることを表します。水道からそのまま出る水は、およそ500KPaです。
しかしエコキュートを通すと、180KPa前後まで水圧が下がってしまいます。これは何故なのでしょうか。
1-1. エコキュートの水圧が弱い理由
エコキュートの内部には「減圧弁」という、水道から出る水の圧を下げるための部品があります。
この減圧弁により、本来は約500KPaあった水圧が約180KPaまで下げられ、タンク内に水が貯められる仕組みです。
これはお湯を貯めておくエコキュートの構造上、仕方のないことといえます。
一方、ガス式給湯器は蛇口をひねったその瞬間にガスの熱で水を温める仕組みです。そのため、水道本来の高い水圧を損なうことなく、お湯を供給できます。
ガス式給湯器の水圧に慣れていると、エコキュートの水圧は物足りなく感じるかもしれません。
1-2. 中には3階以上で使えない製品も
水圧が低いということは、水の勢いが弱いということです。そのため水を押し上げられず、エコキュートの中には3階より上では使えない製品もあります。
2階で使っている場合も、1階よりは水勢が弱いため、物足りなく感じる人もいるようです。
エコキュートの水圧を強くする方法
エコキュートは水道に比べると確かに水圧が弱いですが、水圧は工夫によって改善することもできます。
ここからは、水圧を強くする方法について見ていきましょう。ちょっとした工夫で簡単にできる方法もあるため、ぜひご覧ください。
2-1. お湯を2か所同時に使わない
お湯を使うときはできるだけ、同時に2か所以上で使わないようにしましょう。
たとえばキッチンとお風呂で同時にお湯を使うと水圧が分散されるため、よりお湯の勢いが弱まってしまいます。
つまり、水圧をキープするにはできるだけお湯を1か所に集中させることが大切です。
特にシャワーや洗い物など、一度に多くのお湯がいる場面で水圧が足りないと、時間がかかる上にかえって不経済です。
家族で時間をずらしながらお湯を使うことで、本来の水圧をキープできるでしょう。
2-2. シャワーヘッドを交換する
シャワーを浴びる際に水圧の弱さを感じたら、シャワーヘッドを交換するのもおすすめです。
交換する際は「低水圧用シャワーヘッド」と記載のある商品を選びましょう。低水圧用シャワーヘッドなら、弱い水圧で出てくるお湯にも勢いを持たせてくれます。
原理は水鉄砲と同じで、水が出る穴を小さく設計することでお湯に勢いが出るというものです。
また、穴の数を減らすことで水圧を高めるタイプの商品もあります。
いずれにしても、通常のシャワーヘッドよりも水の勢いが強く感じられるでしょう。通販やホームセンター、家電量販店などさまざまな店舗で販売されています。
購入の際はサイズを間違えないよう、注意しましょう。
2-3. シャワーヘッドの内部フィルターを掃除する
シャワーヘッドを長く使っている場合、内部のフィルターが汚れて水圧を妨げている可能性があります。
シャワーヘッドの内部フィルターを掃除することで水圧が強くなる可能性があるため、試してみると良いでしょう。
フィルター掃除の手順は以下のとおり。
- 蛇口をしっかり閉める
- シャワーヘッドの持ち手部分をひねり、開ける
- フィルターを取り出し歯ブラシなどで掃除する
- 向きに注意しながら、フィルターを再び設置する
- 蛇口をひねって水が出るか確認する
このように、掃除は簡単です。掃除し終わったら、フィルターを逆向きに付けないよう注意しましょう。
2-4. 止水栓を調節する
止水栓と呼ばれる水栓の開きを調節することで、水圧が高くなる場合があります。
止水栓は家庭によって設置場所が異なりますが、多くの場合はトイレかシンク下、浴室の点検口内部にあるか、壁付けされています。
止水栓は三角のハンドル型か、マイナスドライバーで調節できる形状になっているのが特徴です。それを反時計回りに回して少しずつ開くことで、水が通る量を増やすことができます。
適宜蛇口からの水圧を確認しながら、止水栓の開き具合を調節しましょう。なおここでの止水栓は、エコキュートの止水栓とは異なります。
蛇口から出る水を調節するための止水栓であり、家に元々備わっている設備です。間違えないようにしましょう。
2-5. 給湯温度を上げる
エコキュートの設定温度を高くすることでも、水圧をキープできます。
設定温度が高いと供給時に水道水を混ぜて温度調節してからお湯を出すため、水道水の水圧が加わり勢いが増す仕組みです。
一度試してみて、変化が感じられるならこの方法も有効でしょう。
ただし給湯温度を上げるということは、それだけ電気代もかかるということです。月々の電気代はややかさんでしまうかもしれません。
また、蛇口で温度調節をしないとかなり熱いお湯が出てしまうケースも。小さいお子さんのいつ家庭では特に、使い方に注意しましょう。
2-6. エコキュートを買い替える
エコキュートの中には、水圧を強く維持することに特化したシリーズが複数あります。
現在お使いのエコキュートが通常タイプの場合、高い水圧に特化したエコキュートに買い替えることで、水圧の違いを感じられるでしょう。
具体的には日立・ダイキン・東芝・パナソニック・三菱電機の5社で、主に高圧給湯タイプのエコキュートを取り扱っています。
高い水圧が保てるおすすめのエコキュート
高圧給湯タイプのエコキュートの中から、特におすすめのメーカーを厳選しました。いずれも、従来の1.5倍以上の水圧が感じられる商品です。
エコキュートの乗り換えを考えている人や、水圧の弱さからエコキュートの導入を諦めている人はぜひご覧ください。
現在同じメーカーで別のエコキュートを使っている場合は、同じメーカーの高圧給湯タイプに乗り換えることで使い勝手が大きく変わることもなく、快適に使えるでしょう。
また、水圧以外のオプションや独自機能などで選ぶのもおすすめです。
3-1. 日立の「水道直圧給湯」シリーズ
日立は、独自の「水道直圧給湯」という技術を持っています。
公式サイトによれば、水道直圧給湯とは以下のとおり。“水道圧をそのまま利用し、熱交換器で水道水を瞬間的にお湯にして、シャワー(浴室)や蛇口(台所)に給湯します。“
つまりガス給湯器のように、瞬時に水を温めることで水道本来の水圧を減圧しないまま給湯ができるということです。
そんな水道直圧給湯を組み込んだエコキュートが、日立の「パワフルシャワーシリーズ」です。
元々の減圧弁方式では170KPa程度の水圧しかなかったものの、パワフルシャワーシリーズではその1.6倍にあたる272KPaもの水圧が実現できています。水圧が増えた分、一度に流れるお湯の量もたっぷり。
給水元圧が500KPaの場合、2か所同時にお湯を使うと従来の減圧弁方式では1分間で合計12~15Lのお湯しか出ませんでした。
しかし、パワフルシャワーなら1分間で合計17~21L ものお湯が出ます。これなら家族が気を使い合わなくても、各々が快適にお湯を使えるでしょう。また、供給されたお湯をそのまま飲用できるのも日立ならではの技術です。
「水道直圧給湯」だから浴室と台所など同時に高い水圧[パワフルシャワー]|日立製作所
3-2. ダイキンの「パワフル高圧給湯」シリーズ
ダイキンの「パワフル高圧給湯」シリーズも、おすすめです。
給水元圧が500KPaの場合、従来の減圧弁方式では約170KPaの水圧だったのに対し、パワフル高圧給湯シリーズでは約320KPaもの水圧を実現。約1.9倍もの水圧が魅力です。
また、シャワーが3階にある場合でも1分間に15~17Lと、十分なお湯で快適に入浴できます。さらに水量が増えたことで、湯張りのスピードも早くなりました。
浴槽が180Lと仮定した場合、階層ごとにかかる湯張りの時間は以下のとおりです。
3階 | 約16~19分 |
2階 | 約13~17分 |
1階 | 約11~14分 |
どの階層でも、湯張りが20分を切るのはうれしいポイントです。忙しい人にも、早くお風呂に入って寝たい人にも使いやすいエコキュートといえるでしょう。
3-2. 東芝の「パワフル給湯」シリーズ
東芝のエコキュートは元々、3階以上の階層に対応していませんでしたが、パワフル給湯シリーズでは3階にも対応できます。
給水元圧が500KPaとした場合の水圧は、約170KPaから約300KPaまでパワーアップ。3階でも約15分で180Lの浴槽に湯張りが完了するほどです。
浴槽が180Lと仮定した場合、階層ごとにかかる湯張りの時間は以下のとおりです。
3階 | 約15分 |
2階 | 約14分 |
1階 | 約12分 |
シャワーの流量は1分で約14~18L。3階でも約14L/分の水量を保てます。
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まとめ
エコキュートの水圧について解説しました。
エコキュートは構造上、水道の水圧を減圧した上でお湯を供給します。
しかし、高圧給湯タイプのエコキュートを選べば水圧の弱さを気にすることなく快適に使えるでしょう。
3階に水道のある世帯でも、エコキュートを導入できます。
現在のエコキュートを買い替える予定がない場合は、シャワーヘッドを交換するなどの工夫で水圧を改善してみてください。