電気温水器は、その名のとおり電気で稼働するタイプの給湯器です。皆さんは、この電気温水器の取り付け工事がどのくらいの費用や日数がかかるか、ご存知でしょうか。
実際に、「電気温水器への買い替えが気になっているけど、具体的な手順は分からない…」という方もよくいらっしゃいます。
しかし、きちんとした工事の手順をを知らないまま給湯器の交換をしてしまうのはかなりリスキーです。電気温水器はガスや石油式の給湯器に比べて安全性が高く、非常時に使えるお湯も確保できる便利なものですが、手順や業者選びを間違ってしまうと、いい加減な工事をされて余計に費用がかかってしまうこともあるのです。
ここからは、電気温水器の取付・交換工事の流れや費用について解説していきます。この記事を読めば、どのような工事の手順を踏めば失敗なく効率的に取り付けが行えるかが理解できることでしょう。
電気温水器の取付工事の流れ
まずは電気温水器を取付工事の流れを見ていきましょう。
元々ガスや石油式の給湯器を使っている家庭で、新たに電気温水器を導入する場合の工事日数はおよそ2日間です。
元々電気温水器を使っていて、本体を交換するだけなら半日程度で工事は完了するでしょう。
また、エコキュートの取付工事も同じような流れになるため、エコキュートの導入を検討している方もぜひご覧ください。
1-1. 見積もりを受け取り、工事日を決定
まず、取り付けを依頼する業者から見積もりをもらいます。
見積もりには現状を確認した上で必要な部材の価格や、出張費用、作業料等が記載されています。
受け取った見積もりで問題なければ工事を正式に依頼し、工事日程を決めます。
見積もりは、できるだけ複数の業者から取り寄せると良いでしょう。複数の見積もりを比較することで、相場を把握できます。
また、他社と見積もりを比較してことを業者に伝えることで、値引きしてもらえる場合もあり、お得です。
1-2. 基礎工事
現在使っている給湯器が電気温水器ではない場合、まず基礎工事を行います。基礎とは、電気温水器の貯湯タンクを乗せる土台のことです。
タンクのないガス式給湯器や石油式給湯器とは異なり、電気温水器には数百Lもの水が入るタンクが付属します。
このタンクは空でもゆうに100kgを超えるため、倒れないようしっかりとした土台の上に据え付けるのが基本。
業者が最適な場所を選定し、コンクリートで基礎を作ります。なお、すでに電気温水器を使っている場合は既存の基礎をそのまま使い回せる可能性があります。
一方、基礎の劣化が進んでいる場合は作り直すこともあるため、工程については業者に問い合わることをおすすめします。
基本的には新規で電気温水器を導入する場合のみ、基礎を作るために工事日程が1日多くなると考えておくと良いでしょう。
1-3. 既存の給湯器の撤去
続いて、既存の給湯器を撤去します。すでに基礎がある家庭では、ここから工事がスタートとなります。
なお、この時点からお湯は使えなくなるため、お風呂などは済ませておきましょう。
1-4. 配管・配線工事
既存の給湯器が撤去できたら、新たな給湯器の配管や配線を取り付けていきます。
新たに電気温水器を導入する場合は、既存の配管や配線とは異なる形で取り付けする必要があるケースも。
また、新たに追い炊き機能付きの電気温水器にするなど、以前のものとは機能が異なる場合、壁に穴を空けて配管を通す工事が必要となります。
配管や配線工事は、以前の給湯器や家の構造に応じてやり方が変わり、それに応じて追加料金が発生する場合も少なくありません。
見積もりを依頼する段階で、どのような工事となるのかを細かく聞いておけば、突然の追加料金に困ることもないでしょう。
以前も電気温水器を使っており、タンクと本体を取り換えるだけなら大掛かりな工事は必要ない場合がほとんどです。
1-5. 電気温水器の取り付け
配管や配線の工事が終了したら、いよいよ電気温水器を取り付けていきます。
貯湯タンクは基礎の上に据え付け、室外機のような形状の本体はその付近に設置します。
また電気温水器の操作リモコンは、基本的に台所付近やお風呂に設置することが多いです。多くの場合、既存の給湯器リモコンと同じ場所に取り付けることになるでしょう。
1-6. 試運転
取付工事を行う業者は、必ず引き渡し前に試運転を行い、異常がないか調べます。
しかし、工事の雑な業者や悪徳業者は、試運転をせずに帰ってしまう場合も。するといざ使い始めた瞬間からエラーが出たり、不具合が起きたりするリスクがあります。
試運転はできれば自分でも確認し、正常にお湯が沸かせているかチェックしておきましょう。
もし試運転をする様子がなければ、その場で稼働させてみてほしいと促すのがおすすめです。
なお試運転が終わり、正常に使えることが分かれば、その時点からお湯が使えます。
1-7. 顧客へ工事の報告・操作説明
試運転をして問題がなければ、業者から顧客へ工事の完了報告を行います。
その際、電気温水器の簡単な操作説明や、どこに何があるのか、といった説明があります。また取扱説明書や保証書・請求書を渡されるのも、このときです。
取扱説明書や保証書は無くさないよう、大切に保管しておきましょう。
請求書はこのときに内訳を確認し、見積もりと大きな相違がないか確認しておくことをおすすめします。このとき少しでも不明な点があれば、質問して聞いておきましょう。
なお支払い方法は業者によって異なるため、振り込みやカード支払いなどあらかじめ指定された方法で支払いましょう。
1-8. 片付け・既存の給湯器の処分
双方の確認が終わったら、業者は周辺を片付けて帰ります。
取り付け場所によっては家を傷つけないよう、養生する場合もあるため、片付けにも少々時間がかかる場合があります。古い給湯器は業者が引き取ってくれるケースがほとんどです。
なお既存給湯器の撤去からここまでで、およそ1日かかります。
以前から電気温水器を使っていた家庭では、配管や配線の工事が簡単な分、3~5時間程度で終わるケースもあるようです。
電気温水器の取付工事にかかる費用
ではここから、電気温水器の取付工事にかかる費用の内訳を見ていきましょう。
2-1. 電気温水器の本体費用
電気温水器の費用は、およそ10万円~25万円です。
電気温水器にはさまざまな貯湯サイズ、機能の種類があるため、価格にはやや開きがあります。また、メーカーや販売店によっても価格はさまざまです。
自分の家に必要なスペックを考慮した上で、価格をよく比較検討しましょう。
なお設置場所や家の構造上、オプション品を付ける必要がある場合も。工事後に見積もりになかった追加料金を取られないためにも、事前に設置場所を確認してもらいましょう。
2-2. 取付作業費用
取り付けにかかる作業費用は、7万円~10万円が相場です。
ただし、マンションの高層階に電気温水器を引き上げる必要がある場合や、家の近辺が極端に狭く車が入れない場合などは、別途料金が発生する可能性もあります。
また出張費用の価格設定は業者によるため、複数の見積もりを比較検討して決定しましょう。
電気温水器の買い替えを検討するタイミング
給湯器の買い替えを検討する際、「まだ使えるしもう少し先でいいか」と思う方は多いでしょう。
しかし、寿命いっぱいまで給湯器を使うと、いざ壊れたときが大変です。
お湯が出ない状態で、業者を一から探して工事日程を決めなければなりません。
場合によっては部材の取り寄せが必要だったり、業者が繁忙期だったりするため、思い通りの工事日程が組めない場合も。すると不便な日が長引いてしまいます。
ここからは、買い替えにベストなタイミングを紹介します。
3-1. 現在の給湯器が古くなってきた
給湯器ごとの寿命は、以下のとおりです。
ガス式給湯器 | 約10年 |
電気式給湯器 | 10~15年 |
石油式給湯器 | 8~10年 |
寿命はあくまで目安ですが、上記の年数が近づくほど故障のリスクは高くなります。
そのため、できれば寿命を迎える数年前に買い替えを検討しましょう。たとえばガス式給湯器なら、8年ほど使えば替え時です。
電気式給湯器も15年フルに使おうとせず、10年目が見えてきた段階で買い替えるのが無難でしょう。
また、ガス式給湯器や石油式給湯器は古くなるとガス漏れや火災の発生リスクも高まります。安全性を考慮する上でも、早めの買い替えがおすすめです。
3-2. 小さな故障が頻繁に起きる
給湯器は寿命が近づくと、小さな故障やエラーがたびたび起きるようになります。
たとえば、電気温水器を使っている場合はパッキンの劣化によるエラーが出たり、温度検知に不具合が生じたりするなど。
ガス式給湯器では異音やガス臭がするほか、お湯が急に熱くなったり冷たくなったりする現象が起きることも。
そのときは簡単な修理で済んでも、こうした小さな不具合が頻発するということは寿命が近いサインです。
修理に費用をかけるよりも、思い切って買い替えた方が経済的で、なおかつ安全といえます。
3-3. リフォームしてオール電化にする
家をフルリフォームしてオール電化にする場合も、電気温水器への買い替えはおすすめです。
電気温水器は基本的に安い夜間電力を使って沸き上げしますが、日中に余った太陽光を使ってお湯を沸かすこともできます。
近年、余剰電力は売却しても利益が出にくくなっていることもあるため、作った電気を無駄なく給湯器で使えれば無駄がなく、電気代節約にもつながるでしょう。
まとめ
電気温水器の工事内容や費用について解説しました。
給湯器の交換というと、大掛かりな工事をするイメージがあるかもしれませんが、実際にかかるのは長くても2日です。
元々基礎ができていれば1日で終わるため、近所に迷惑がかかるような大規模な工事ではありません。
また、大切なのは信頼できる業者選びです。
取付実績が豊富で評判が良く、見積もりにも不明な点のない業者を選びましょう。