最新型の給湯器として需要が高まっているエコキュート。皆さんは、実はエコキュートが従来の給湯器よりも寿命が長いということ、ご存知でしょうか。
使用する上で大きなメリットといえる寿命ですが、実際にエコキュートを導入した人の中には、「すぐに故障してしまった…」といった声も…。
しかし、寿命が長いとはいえ、何もメンテナンスをせずに使い続けるのはかなりリスクがあります。エコキュートの大きな故障を避けるには、適切なメンテナンスや自主的なチェックが必要なのです。
ここからはエコキュートの寿命を伸ばすために必要なポイントについてご紹介していきます。この記事を読めば、どうすればエコキュートの寿命を伸ばすことができるのかが理解できることでしょう。
エコキュートの寿命は長い?
エコキュートは他の給湯器と比較して、寿命が長いとされています。
では一体どのくらい長いのか。他の給湯器の寿命はどのくらいなのか見ていきましょう。
1-1. エコキュートの寿命
まずエコキュートの寿命は10年~15年とされています。これは一般的な土地で使用することを想定して算出されている数値です。
しかしながら、まだエコキュートの詳しい寿命については算出できていないという声も。というのも、エコキュートは2001年に発売されたばかりなのです。
そのため、発売当初から購入している人以外はまだ初期型モデルを使っている人もいます。
そのためすでにエコキュートが故障してしまった世帯から、2019年段階ではおよそ10年~15年が寿命と算出されているのです。
1-2. 電気温水器の寿命
エコキュートと同じように電気を使ってお湯を沸かす電気温水器。これは賃貸のマンションなどでもよくつかわれている給湯器です。
この給湯機の寿命はというと、基本的に8~10年とされています。エコキュートと比べると約5年、寿命が短いことになります。
1-3. その他の給湯器の寿命
給湯器にはその他にもガス式、灯油式といったタイプがあります。これらはガスや灯油を燃料として火をおこすことで、お湯を沸かす給湯器です。
こういった給湯器の場合もまた寿命は8年~10年とされています。
火を使うのでパワフルな反面、給湯器自体の劣化が早いのが特徴です。中には8年たたずに壊れてしまうものもあります。
1-4. 使用環境で寿命が短くなることも
ここまでそれぞれの給湯器の一般的な寿命をご紹介してきました。寿命は大体の目安として導入前の検討に役に立ちます。
しかし、住んでいる地域やそこの環境が寿命を短くしてしまうこともあるのです。
例えば寒冷地。冬はマイナスの気温になる場所では、給湯器に非常に負担がかかります。
必要以上にエネルギーを必要とし、本体がフル稼働するので寿命が短くなってしまうのです。
また、塩害もまた寿命を縮める要因になります。塩害は錆の原因となり、配管にとって悪影響をもたらすのです。
そのため寒冷地や海沿いの地域は注意が必要です。エコキュートの場合は近年、寒冷地・塩害に特化したモデルの開発も進められています。
こんな時は寿命のサイン?
それではここから「寿命かな?」と思われるエコキュートのサインについてご紹介していきます。不調に早く気付くことで、買い替えに至らず住むことも大いにあります。
これからご紹介するような症状が出たらすぐに修理の依頼をしましょう。
2-1. お湯が止まらない
湯はりが完了しているのにお湯が止まらない場合があります。気づかないうちに浴槽からお湯があふれていたなんていうケースも…。
エコキュートの運転自体を停めれば済む話ではありますが、これは水位を感知するセンサーの故障であることが多いです。
買い替えではなく、修理で解決できるケースが多いのですぐに業者に連絡しましょう。
2-2. お湯が出ない
逆にお湯が全く出ないというケースもあります。しかし何も出ないわけではなく、水のみが出るというケースも。
この場合はお湯の温度を測る温度センサー周辺の部品が故障しているケースがあります。
また、ヒートポンプ内の部品が故障しているという場合も。
もしそれが設置間もないエコキュートであれば、設置における初期不良という可能性もあります。
いずれにしてもお湯が出ないのは生活に関わる事なのですぐにでも修理が必要です。
2-3. 水漏れしている
タンクと繋がっている配管から水漏れが発生している場合もあります。
水漏れというほどのものでなくても、水がポタポタと垂れていたり、水たまりが出来ているようならすぐに修理が必要です。
こうした症状を放置すると漏れた水が本体に悪影響を及ぼす場合もあります。
さらに、漏れている分無駄に水を使ってしまうことにもなり水道代が上がる事にもつながります。
2-4. 異音がする
本体から「ポンッ」といった小さな爆発音や「ピーッ」「ゴー」といった異音がする場合があります。
前者のような音である場合は、エコキュートの不完全燃焼が原因だと考えられます。放置すると一酸化炭素中毒にもなりかねず非常に危険です。すぐに電源を切って修理依頼をしましょう。
後者のような音の場合、排気口付近を何かが遮っている可能性があります。確認して、落ち葉か何かがあれば除去しましょう。
また、エラーコードが出ていればそれに従って対応してください。
2-5. エコキュートの電源が落ちる
エコキュートの稼働が止まってしまうこともあります。これは漏電遮断器が何らかの理由で落ちているということです。
こういった場合漏電の可能性が考えられ、モーターや基盤の交換が必要となります。
停電時以外に漏電遮断器が何度も落ちる場合は使用をやめ、修理の依頼をしましょう。
2-6. 部品が錆びている
目に見えてエコキュートが錆びている場合があります。錆は特に配管にできやすいものです。
タンク自体はステンレス製になるので中々錆は出来ませんが、カバーに錆がつくこともあります。
また電気による腐食で錆が発生することもあり、これらは全て劣化によるものです。水漏れなどの原因になるので、早めに業者に相談しましょう。
2-7. 追い炊きが出来ない
残りの湯量は十分にあるのに追い炊きが出来なくなるケースもあります。これはエコキュートの追い炊き機能が故障している可能性があります。
また、途中で追い炊きが止まってしまうことも。
こうしたケースの場合は、浴槽にある給湯口の目詰まりや配管の汚れが原因であることもあります。
しっかりと掃除している上でなお続くようであれば修理を依頼しましょう。
2-8. 修理しても同じエラーが出る
何度修理しても、頻繁に同じエラーコードが出てしまう場合もあります。
この場合、修理での部品交換などでは直し切れていない部分があるか、エコキュートの寿命であるということが考えられます。
この症状に加えてエコキュートが10年以上経っているものであれば、寿命だと考えるのが自然でしょう。
2-9. 10年以上使用している場合
特に問題なく使えていても、10年以上使用しているエコキュートはある日突然寿命を迎えることがあります。
10年以上長く使用している場合は、常に買い替えのことを念頭に置いておくといいでしょう。
故障して新規導入するまでの手間を考えて、故障する前に早めの買い替えをする人も少なくありません。
より長く寿命を延ばすためのポイント
最後に、エコキュートの寿命をより伸ばすためのポイントについてご紹介します。
エコキュートは複雑な構造を持つので、定期的に適切なメンテナンスを行わないとどんどん劣化していきます。是非正しいメンテナンスで寿命を引き延ばしてあげて下さい。
3-1. 貯湯タンクの水抜きを行う
自分でできるメンテナンスのうち、最も重要なのはこれです。
以下のようなステップで行いましょう。
- 給水配管の水栓を閉める
- 逃し弁を手前に起こす
- タンクの排水栓を2分間開ける(2分経過したら閉じる)。
- 給水配管の水栓を空ける
- 排水口から水が出ているのを確認
- 逃し弁を元に戻す
このようなメンテナンスを1年に2~3回は行いましょう。タンク内が清潔に保たれ、配管の劣化も防ぎます。
3-2. ヒートポンプユニットの空気抜きを行う
ヒートポンプユニット内にも実は水が入っており、これを定期的に抜くことは重要です。
以下のようなステップで行いましょう。
- ヒートポンプユニットの水抜き栓(2~3か所)を1回転以上回して全て開く※全て抜くのはNG
- 1分間以上水を抜く
- 水抜き栓を元に戻す
これで完了です。簡単ですが意外と忘れがちなメンテナンスなのでしっかりと行いましょう。
3-3. 漏電遮断器のチェックを行う
漏電や火事を未然に防ぐ役目を持つ漏電遮断器。これがしっかり作動するかどうかは、安全面においても重要です。
- 漏電遮断器のテストボタンを押す
- 電源レバーがOFFになればOK
これだけで漏電遮断器が正常かどうか確認できます。タンクの水抜きのタイミングと同時に行うと良いでしょう。
3-4. 逃し弁のチェックを行う
逃し弁はエコキュートのタンク内の圧力が一定に保たれるよう調節する部品です。
これも漏電遮断器のチェックと同時に作動の確認をしておきましょう。
- 排水口などから水が漏れていないことを確認
- 逃し弁レバーを手前に起こす
- 排水口から水またはお湯が排水されることを確認
- 逃し弁レバーを戻す
3-5. リモコンのお手入れを行う
普段あまり意識しないかもしれませんが、エコキュートのリモコンも実は繊細です。汚れが長年付着すると、画面が見えなくなることもあります。
そこで普段のお風呂掃除と合わせて、からぶき、もしくは少し濡らした布で画面をふき取るようにしましょう。
洗剤や薬剤などは使わないようにしてください。
3-6. 長期的に家を空けるときには電源をOFFに
エコキュートの寿命を伸ばすためには、時に休ませることも重要です。特に長期的に家を空けるときなどは、電源を切らないと自動で稼働し続けます。
無駄な電力消費にもなるうえ、この状態を何年も続けていることでエコキュートの劣化にもつながります。必要のないときには電源を切りましょう。
3-7. 本体付近にものを置かない
エコキュート本体、特にヒートポンプユニット付近には、物を置かないようにしましょう。外気から熱を取り込んでいるため、障害物があると稼働の効率が下がってしまいます。
また、ファンが異物を吸い込むと修理が必要になる場合も。出来るだけエコキュートの周辺は開けた環境にすることがポイントです。
まとめ
エコキュートの寿命についてご紹介しました。
適切なメンテナンスを行えば、大きな故障を起こさずに寿命を全うさせられる可能性も上がります。
また、不安な方は定期的に専門業者の点検を依頼するのもおすすめです。
自分では発見できないようなエコキュートの不調を早期発見してくれるかもしれません。
大切に使って、長く、便利なお風呂ライフを楽しみましょう!