そこでこの記事では、カキンホースの概要や危険性、おすすめの配管素材をご紹介します。
エコキュートの故障でよくあるのが、水漏れです。皆さんは、どのような原因で水漏れが起こるのかご存知でしょうか?
実際には、「なぜ水漏れが起きたのかよく分からない…」というケースもよくあります。
しかし、原因をよく知らずに部品の交換や対処を行うのはかなりリスキーです。水漏れはさまざまな箇所から発生しますが、ホースの破損による水漏れは特に発生しやすい故障の1つ。中でも「カキンホース」という配管を使っているエコキュートは注意が必要なのです。
ここからは、カキンホースの概要や危険性、おすすめの配管素材をご紹介します。この記事を読めば、どのような素材のカキンホースが適切かが理解できることでしょう。特にエコキュートを10年近く使用している方は、故障する前にぜひご覧くださいね。
カキンホースとは?
カキンホースとは、エコキュートだけでなくさまざまな住宅設備に使われる配管のことです。
では、その特徴について詳しく見ていきましょう。
1-1. カキンホースの概要
カキンホースは、ゴムでできた配管です。耐熱温度は約90℃。そのため、熱いお湯が通る場所の配管として、多く利用されていました。
エコキュートが初めて世に出たときは、銅製の配管が多く使われていましたが、その次に用いられるようになったのがカキンホースです。
熱に強く、耐久性もあるということで2010年代までは多く出回っていました。
1-2. カキンホースが付いている場所
カキンホースが使われているのは、エコキュートのヒートポンプ(本体)と貯湯タンクをつなぐ場所です。
中でも、ヒートポンプユニットで高温にしたお湯をタンクへ戻すための配管として、よく使われています。このような配管を「戻り配管」とも呼びます。
1-3. 現在は販売されていない
カキンホースは、現在生産終了となっています。そのため、最近購入したエコキュートにはカキンホースでなく違う素材の配管が使われています。
カキンホースが使われているのは、主にエコキュートが初めて登場した2000年代初頭から、2010年代まで。
このあたりに購入したエコキュートで、今まで配管の交換等をしていなければカキンホースが使われている可能性があります。
では、なぜカキンホースは生産終了となったのでしょうか。その理由を見ていきましょう。
カキンホースの危険性
カキンホースは販売当初、熱に強いゴムホースとして重宝されていました。
しかし、世に出回ってから年数が経つうちに、2つの危険性があるとして生産終了となったのです。
2-1. 水漏れのリスクがある
2010年代から今まで、カキンホースの水漏れが頻発しました。
当時高い耐熱性と耐久性をうたっていたカキンホースですが、エコキュートの戻り配管に用いる場合、常に内部へ熱湯を流し続けている状態です。
そのため、時間が経つにつれてホースに負担がかかり、破損のリスクが高まるようです。
2020年代の現在でも古いエコキュートを使っている場合は、こうしたカキンホースの破損による水漏れが起きるケースがあります。
カキンホースは熱湯を通す配管のため、破損すると熱湯が噴き出てしまい、非常に危険です。
もし水漏れが確認できたら、すぐにエコキュートの電源(漏電遮断器)をOFFにし、止水栓と呼ばれる元栓を止めましょう。
2-2. 配管内部が劣化する
カキンホースはゴム製のため、熱湯によって内側が劣化していきます。
劣化が進むと内部に黒いヘドロが付いたような状態になり、浴槽の給湯口から黒い汚れが出てくる場合も。
カキンホースは温められたお湯をタンクに戻す配管に使われることが多いため、配管の汚れがそのままタンクを通って浴槽に入ってしまうのです。
なお、ここまで配管の内部が劣化すると、水漏れが起きるのも時間の問題です。
特に浴槽にお湯が溜まりにくいと思ったら、水漏れを疑いましょう。目に見えない箇所で、少しずつ水が漏れている可能性があります。
その他・破損のリスクがあるホース
カキンホースは現在生産終了しているため、新たな取り付けや交換で使われることはありません。その代わり、以下の配管が用いられる場合があります。
これから紹介する配管はいずれも耐熱性がなく、エコキュートの戻り配管に使うには破損のリスクが伴うものです。
エコキュートの修理ノウハウのない業者や、水道屋などに配管の交換を依頼すると、こうしたホースを取り付けられるケースもあるため注意しましょう。
配管の交換は、エコキュートの修理や取り付けに特化した業者かメーカーに直接依頼するのがおすすめです。
また、業者を選ぶ際は口コミを見て評判をよく確認しましょう。
3-1. ハイブリッドホース
1998年に発売された配管で、2本のチューブが1セットになっています。内部は特殊EPDMゴム覆われており、耐熱温度は約90度。
カキンホースと同じだけの耐熱性を持っており、さらに高い柔軟性を持つことから工事の取り回しが容易です。
しかし、その柔軟性によりホースの伸縮や振動が伝わることで、エコキュートがエラーを検知してしまうこともしばしば。
また、耐熱性はあるものの熱による破損で水漏れを起こした事例もあるようです。
そのため現在では浴槽の追い炊き専用配管として使われており、エコキュートへの使用は推奨されていません。
3-2. 架橋ポリエチレン管
架橋ポリエチレン管は、通常の分子構造を変化させた超高分子量のポリエチレンでできた配管です。
ポリエチレン本来の軽さや柔軟性に加え、耐久性が高いのが特長といえます。
最高使用温度は95度まで。エコキュートの熱湯にも理論上は耐えられます。
しかし、ポリエチレン(樹脂)を原料とするため、長期的に安全に使うにはやや耐久性に不安があります。
エコキュートの戻り配管として使う場合は、金属で強化された「耐熱架橋ポリエチレン管」「金属強化ポリエチレン管」がおすすめです。
エコキュートの配管に適したホースは?
ではエコキュートの戻り配管に使うのは、どのような配管なら良いのでしょうか。近年では耐熱性も耐久性も高い素材の配管が複数登場しています。
ここからは、エコキュートの配管に適したホースを見ていきましょう。
4-1. 耐熱架橋ポリエチレン管
費用相場:2m程度 25,000円~30,000円(作業費込み)
先に紹介した架橋ポリエチレン管をさらに強化したものです。
通常の架橋ポリエチレン管とは異なり、元々耐熱性の高いポリエチレン管をさらにアルミや銅といった金属で補強した作りになります。
4-2. 三層アルミ管
費用相場:2m程度 35,000円~50,000円(作業費込み)
架橋ポリエチレン管の間に、アルミをはさんだ金属強化架橋ポリエチレン管です。
これもまた、一般的な架橋ポリエチレン管をさらに強化したものといえます。
耐熱性だけでなく、素材そのものが軽く柔軟性を持っているのも特長です。そのため、配管工事にも使いやすい素材といえます。
内部には酸素が入りにくい構造になっており、防錆効果も期待できます。
4-3. フッ素樹脂ホース
費用相場:2m程度 40,000円~60,000円(作業費込み)
最高使用温度は100℃。内管の接水層にフッ素樹脂を採用することで耐熱性はもちろんのこと、柔軟で軽量なのが特長です。
耐久性も高く、耐圧性、耐潰れ性、耐衝撃性に優れた性質を持っています。
10年以上使っているエコキュートは要注意
10年以上特に故障もなくエコキュートを使い続けている場合、配管から水漏れするリスクが高い状態です。中古のエコキュートを買った場合も同様。
水漏れは一度発生するとエコキュートのエラーコードが出てお湯が作れなくなるなど、非常に不便な状況になってしまいます。そうなる前に、買い替えを検討しましょう。
エコキュートの寿命は10年~15年とされていますが、実際のところ10年近くなると故障のリスクが高まります。
また、近年販売されているエコキュートは以前にも増してエコ性能が高まっているため、買い替えることで電気代節約も期待できるでしょう。
まとめ
エコキュートに使われていたカキンホースについて紹介しました。
カキンホースは現在生産終了となっていますが、現在稼働しているエコキュートに使われている可能性は大いにあります。
定期的な点検や買い替えによって、故障を予防しましょう。