NORITZは、給湯器で国内第2位という高いシェアを誇るメーカーです。皆さんは、そのNORITZがどのような給湯器を開発しているかご存知でしょうか?
実際に「聞いたことはあるけど具体的にはあまりよく知らない…」といった声も多く耳にします。
しかし、エコキュートなど給湯器を選ぶ際にはメーカー選びはとても重要です。NORITZは、実は近年話題となった「エコキュート」は販売していません。しかしその代わり、エコキュートに代わる独自の電気式給湯器「ハイブリッド給湯システム」を展開しています。
ここからは、NORITZの「ハイブリッド給湯システム」について詳しく解説。この記事を読めば、オール電化やそれ以外の給湯器をご検討の際、どちらがあなたにとって効率の良いものかが理解できることでしょう。
「NORITZ」とは?
1-1. NORITZの沿革
NORITZは元々「能率」と記載します。現在はカタカナで「ノーリツ」と書くのが正式名称になっていますが、1951年の創業当初は「能率風呂工業株式会社」という社名でした。
そして保温効果のあるタイル風呂「能率風呂A型・B型」を販売。従来よりも機能的なお風呂の開発と、商品販売に力を注ぎました。
そして1960年代、国内のエネルギーが石油からガスへ転換する中で、高効率でデザイン性の富んだアルミ製の釜「GS型」を販売。
その後はより一層機能的な風呂釜や給湯システムの開発にいそしみ、自動消化装置「風呂センサー」付きガス釜や自然循環式太陽熱温水器「SJシリーズ」を販売しました。
そしてNORITZが給湯器分野へ進出したのは、1981年のこと。コンパクト給湯器「ユコア」の発売を皮切りに、給湯器を含む住宅設備分野へ進出を始めました。
さらに2001年には厨房分野へ進出するなど市場の幅を広げ、今に至ります。
海外にも市場を展開しており、老舗ながらも確かな地位を築いているメーカーといえるでしょう。
1-2. NORITZにエコキュートはない
NORITZは給湯器の国内シェア第2位でありながら、エコキュートは販売していません。
NORITZの主力商品は、あくまでガス給湯器と石油式給湯器です。そのため、電気で稼働するエコキュートは販売していないのです。
しかし、NORITZにはエコキュートに代わるオリジナルの電気温水器があります。
エコキュートに代わるNORITZの商品「ハイブリッド給湯システム」
ハイブリッド給湯システムは、その名のとおり電気とガスの両方を使える給湯システムです。
電気を使うヒートポンプシステムを搭載した本体と、ガス給湯器「エコジョーズ」を搭載した貯湯タンクで構成されています。
内部に組み込まれたシステムで、そのときに最もお得な沸き上げ方法を選択。時間帯やタイミングによって電気とガスを使い分け、低コストでの給湯を実現します。
また、太陽光発電との併用も可能です。太陽光発電の余剰熱を使ってお湯を沸かすモードもあるため、エネルギーに一切費用をかけずお湯を沸かすこともできます。
2-1. 省エネ性能が高い
NORITZのハイブリッド給湯システムは省エネ性能が高いという特徴があります。
省エネ性能は高ければ高いほど、家計にも環境にもやさしい商品といえます。
2-1-1. 少ないエネルギー消費量
NORITZのハイブリッド給湯システムは、給湯と保温を少ないエネルギー消費量で実現しています。
具体的にいうと、ハイブリッド給湯システムの給湯・保温一次エネルギー消費量は、14.1~15.4 GJ(ギガジュール)/年です。
対して、エコキュート(JIS3.3)の給湯・保温一次エネルギー消費量は17.9GJ/年。
エコキュートよりも年間3.8 GJものエネルギー削減に成功しています。エネルギー消費量が少ないということは、電気代やガス代などの節約に直結します。
ランニングコストを抑えたい方にとっても、NORITZのハイブリッド給湯システムはおすすめです。
2-1-2. 高い年間給湯保温効率
NORITZのハイブリッド給湯システムは、141%という高い熱効率を誇ります。
年間給湯保温効率とは、給湯機を運転したとき、単位消費電力量あたりにどのくらいの給湯熱量と保温熱量があるかを表したもので、JIS規格に基づいて計算されます。
簡単にいうと、数値が高ければ高いほど稼働効率が高く省エネということです。
たとえば三菱電機製エコキュートの中でも最もハイスペックなPシリーズは、年間給湯保温効率が最大115%です。
大手メーカーのエコキュートよりも高い年間給湯保温効率を誇るハイブリッド給湯システムは、まさに家計の味方といえます。
2-1-3. 太陽光発電の消費優先モードを搭載
NORITZのハイブリッド給湯システムには、太陽光発電で余った電力を優先的に使うモードがあります。
このモードをオンにしておくと、昼間のうちに余剰電力を使ってお湯を沸かし、夜に備えられます。
また、反対に太陽光発電の余剰電力の販売を優先するモードもあります。
売電優先モードでは太陽光発電をしている日中に湧き上げを行わず、事前に湧き上げて貯湯しておくのとバックアップのエコジョーズでちょうど良い時間に沸き上げをするのの、どちらがお得かを自動計算。
自動でよりお得な方を判断し、最適な沸き上げを行います。
2-2. 環境にやさしい
NORITZのハイブリッド給湯システムは、環境にやさしいのも特徴です。省エネで、なおかつ環境にも配慮した設計が魅力的です。
お子さんのいる家庭でも、排出ガスによる空気の汚れを気にすることなく使えます。
2-2-1. 業界で唯一自然冷媒「R290」を採用
ハイブリッド給湯システムには、自然冷媒「R290」を使います。
自然冷媒とは大気中から取り込み熱を加えることで、その熱を水に受け渡してお湯に変える役割を持つもののことを指します。
そしてR290とはLPガスでよく利用される炭化水素のことです。
R290は他の自然冷媒に比べて地球温暖化に影響する係数が低く、世界的に活用が推奨されている冷媒です。
NORITZは2020年1月時点で、国内の業界で唯一給湯システムにR290を採用しました。
なお、エコキュートは自然冷媒に二酸化炭素を利用しており、R290と同じく地球温暖化への影響が少ないシステムを実現しています。
2-2-2. CO2排出量を大幅削減
NORITZのハイブリッド給湯システムは、エコキュートよりもCO2排出量が少ないというメリットもあります。
ハイブリッド給湯システムはエコキュート(JIS3.3)と比べて、年間約180kg(約19%)も削減できるのが特徴です。
また、従来のガス給湯器(LPガス)と比べると、年間約670kg(約47%)ものCO2削減に成功しているのです。
太陽光や自然冷媒を活用でき、さらに環境を汚すリスクも低い、画期的な給湯システムといえます。
2-3. 災害時も安心
ハイブリッド給湯システムは、万が一の停電や断水などの災害に見舞われた場合も安心して使える設計が魅力です。
停電時、ガスが止まったとき、断水時など、さまざまな災害のパターンに対応しています。
ハイブリッド給湯システムなら、ライフラインの復旧を待つ間や救助を待つ間も安心です。
2-3-1. 電気とガスが止まってもお湯が使える
ハイブリッド給湯システムは、電気が止まった場合でもガスを開通していれば非常用電源を使ってお湯が沸かせます。
また、仮にガスが止まった場合でも電気さえ通っていれば通常通りお湯を沸かせて安心です。
さらに電気とガスが両方使えない状況下でも、太陽光発電の蓄電池からエネルギーを取って稼動することができます。
このように、電気とガスのハイブリッド式給湯システムだからこそあらゆる災害シーンにも難なく対応できるのが特徴です。
2-3-2. 断水時もタンクからお湯を出して使える
断水して水道が使えなくなった場合は、ハイブリッド給湯システムの貯湯タンクから直接お湯を出して使えます。
ハイブリッド給湯システムの本体「ユコア」は最大140Lのお湯を貯めておけるのが特徴です。
そのため、トイレで使うなら35回分の水量が確保できます。飲み水としても使えて、万が一のときも安心です。
2-4. あんしん保証を10年まで延長可能
NORITZには、「安心プランS」という延長保証制度があります。
通常、ハイブリッド給湯システムで設置する給湯器「ユコアHYBRID」や「ユコアHYBRID-S」の保証期間は2年です。
しかし、安心プランSに加入すると有償で保証期間を10年へ延長できるのです。別途かかる保証料は4万4,330円。
10年間修理費や点検代が一切かからないと考えると、良心的な価格といえます。
なお、保証期間中は24時間365日で、サポートセンターへ修理や故障の問い合わせができます。何かあったときも時間や日にちを選ばずすぐに連絡できて便利なサービスです。
安心プランSは購入時に加入しなくても、2年間の保証期間が終わる前までならいつでも加入できます。
まとめ
日本の給湯器部門で高いシェアを誇るNORITZの特徴や、エコキュートに代わる「ハイブリッド給湯システム」についてご紹介しました。
ハイブリッド給湯システムはエコキュートと同じく電気で稼働し、太陽光発電との相性も抜群です。
オール電化住宅にお住まいの方や、エネルギーゼロ住宅を目指す方は特に、ハイブリッド給湯システムも検討してみてはいかがでしょうか。