近年よく耳にする「小型電気温水器」ということば。皆さんは、小型電気温水器の電気代がどのくらいなのか、ご存知でしょうか。
実際のところ、「手軽そうだけど、詳しいことはよく知らない…」といった方も少なからずいらっしゃいます。
しかし、導入した後の電気代などを知らずに給湯器の交換をしてしまうのはあまりよくありません。小型電気温水器は、一般的な電気温水器よりも本体サイズが小さく便利ですが、電気代もとても安く抑えられる給湯器なのです。
ここからは、小型電気温水器の電気代や節約方法について詳しく解説していきます。この記事を読めば、導入後どのようにすれば効率良く使用できるかが理解できることでしょう。
小型電気温水器の特徴
まずは小型電気温水器の特徴について見ていきましょう。
1-1. コンパクトなデザインで場所を取らない
小型電気温水器は、非常にコンパクトな本体が特徴です。
一般的な電気温水器はお風呂や水道など、自宅全ての蛇口から出るお湯を供給するため、200から400ℓ以上ものお湯が貯めておける大きなタンクが付いています。
高さは2m近くあり、底面も70センチ四方以上になるものが多数。
しかし、小型電気温水器は1つの水道に対して単体で付けるものなので、タンク容量は6ℓから35ℓと非常に小さいのが特徴です。
その分タンクのサイズも小さく、30センチ四方におさまる製品も数多くあります。中には薄さが20センチ以内に抑えられた薄型の製品も。
そのため、設置スペースがある程度狭くても問題ありません。
シンクの下に置いたり、蛇口の上部に壁付けしたりするなど、コンパクトだからこそさまざまな設置方法を検討できます。
1-2. 大掛かりな設置工事が必要ない
小型電気温水器の設置には、大掛かりな工事が必要ありません。なぜなら、設置は本体に電源を接続し、蛇口(水栓)と接続するだけだからです。
DIYの知識があれば、自分で取り付けることもできます。
一方、一般的な電気温水器は、専門の業者による取り付けが必要です。お風呂や台所といったさまざまな蛇口(水栓)との接続が必要な上、大きな本体を安定した場所へ設置する必要があるからです。
小型電気温水器は本体が小さいこともあり、大人1人でも取り回ししやすいのが特徴。手軽に取り付けが可能です。
1-3. 電気代が安い
電気代が安いのも、小型電気温水器のメリットです。
小型電気温水器は一般的な電気温水器に比べ、タンク容量が小さいため沸き上げに必要な電力も少ないのが特徴です。
たとえば三菱電機が製造販売している、自動ふろ給湯タイプの電気温水器は、4.6~6.5kWが最大消費電力とされています。
一方、小型電気温水器の消費電力は1kWにも満たないものが多数。そのため、小型電気温水器を設置したら翌月から大幅に電気代が増える、といったことはほとんどありません。
小型電気温水器の電気代
ではここからは、小型電気温水器の電気代が具体的にいくらかかるのか、製品ごとに見ていきましょう。
2-1. 電気代の計算方法
まずは電気代の計算方法について解説します。電気代を求める計算式は、以下のとおりです。
1時間あたりの消費電力(kW)×使用時間(h)×1kWhあたりの料金単価(円/kWh)=電気代(円)
1時間あたりの消費電力は、製品の取扱説明書やカタログに「消費電力」として記載されています。
また、使用時間は1日に小型電気温水器を使う合計時間です。小型電気温水器が電力を消費するのは湧き上げの時間と、給湯している時間の2つ。
手を洗う程度ならお湯を流している時間はそこまで長くならないため、沸き上げ時間をメインに考えましょう。
1kWhあたりの料金単価は、契約している電力会社のプランによって異なります。
季節や時間帯によっても異なる場合があるため、細かく料金をシミュレーションしたい方は自分の契約プランを確認すると良いでしょう。
2-2. 小型電気温水器の製品ごとの消費電力と電気代目安
では、メーカーと製品ごとに1日あたりの電気代がどの程度になるのか見ていきましょう。
今回の計算では、使用時間は「湧き上げにかかる時間+5分(手洗いなどで給湯している時間)」としています。
電気の料金単価は、27円/kWと仮定しました。
メーカー | 製品名(容量) | 消費電力(kW) | 沸き上げ時間 | 1日あたりの電気代 |
TOTO | REWF03(3ℓ) | 0.6 | 15分 | 約5.35円 |
REAH06/REAH06(6ℓ) | 0.6 | 35分 | 約10.69円 | |
REWB/D(12ℓ) | 1.1 | 51分 | 約29.7円 | |
LIXIL | EHPN-T1N3(1.5ℓ) | 0.49 | 5分 | 約2.20円 |
EHPN-F6N5(6ℓ) | 0.49 | 42分 | 約10.36円 | |
EHPN-12N2(12ℓ) | 0.45 | 90分 | 約28.23円 |
上記の表を見ると分かるように、タンクの容量が大きければ大きいほど沸き上げ時間が長くなるため、電気代も高くなる傾向にあります。
もし一般家庭の洗面所に設置する場合は、5ℓ以下の容量で問題ないでしょう。
3ℓの製品でも、10名から15名の人が連続で使用できるため、一般家庭で手洗いや洗顔用に使うスペックとしては十分です。
1日あたりの電気代が約5.35円の場合、1か月あたりの電気代は約160円となります。毎日欠かさず使ってもこの電気代なので、そこまで大きな負担にはならないでしょう。
なおTOTOの製品カタログを見ると、6ℓ容量の小型電気温水器は小規模な飲食店に、12ℓ容量の小型電気温水器は40名以下のオフィスでの使用に適していると記載されています。
6ℓ以上の容量を持つ小型電気温水器は、業務用や公共スペースへの設置用として考えましょう。
小型電気温水器の電気代を節約する方法
では、小型電気温水器の電気代をより節約するためにはどうすれば良いのでしょうか。ここからは小型電気温水器の節約術について解説します。
3-1. 水を流しっぱなしにしない
まずは、使っている間水を流しっぱなしにしないということです。
たとえば顔を洗っている間や、歯を磨いている間などにお湯を出しっぱなしにすると、それだけで電気代がかさんでしまいます。
その上、タンクのお湯がどんどん減って湯切れしてしまう原因にもなるため、蛇口は意識的に閉めるようにしましょう。
3-2. お湯の設定温度を下げる
お湯の設定温度を下げるのも、小型電気温水器の電気代を節約する1つの方法です。
小型電気温水器は多くの場合、タンクに給湯温度を調節するボタンやつまみが付いています。
一般的に、給湯器は高い温度へ沸き上げるほど、多くの電気を必要とします。そのため設定温度をできるだけ低くすることで、無駄な電力を使わずに済むのです。
もちろん、お湯を使う際の快適性を損なわない範囲での設定になるため大幅な節約は期待できませんが、日々の積み重ねは大切です。
温度は一度設定してしまえば、知らず知らずのうちに大きな節約につながるでしょう。
小型電気温水器を導入する際の注意点
小型電気温水器は、手軽に取り付けられる上電気代も安く、ちょっとした場所への取り付けにおすすめです。しかし、導入前に知っておきたい注意点もあります。
ここからは小型電気温水器のデメリットについて解説します。
4-1. 湯切れのリスクがある
小型電気温水器は、容量が小さい分すぐに湯切れするリスクがあります。
商品を選ぶ際には、製品カタログに記載されている「連続出湯量」をチェックしましょう。連続出湯量とは、連続して出し続けられるお湯の量を指します。
たとえば3ℓ容量の小型電気温水器でも7~8ℓの連続出湯量があり、必ずしも容量そのものが連続出湯量ではありません。
一般的に1分間流しっぱなしにすると約12ℓの水を消費することになるため、流しっぱなしにして使うことが多い場合は連続出湯量の多い製品を選んでおくと安心です。
4-2. ガス給湯器に比べると本体費用が高い
小型電気温水器は、5万円以上する製品が多くあります。中には10万円を超えるものも。オプションを付けるとさらに高くなることも、珍しくありません。
この価格は一般的な電気温水器に比べて安いですが、ガス式の小型湯沸かし器と比べると、高いといえます。
ガス式の小型湯沸かし器は、安いもので1万円前後から購入できるのが特徴です。初期コストを抑えたいなら、電気ではなくガス式の給湯器を検討するのも良いでしょう。
ただし、電気温水器はガス式給湯器に比べて寿命が長いというメリットがあります。そのため初期費用はかかるものの、長く使って元を取るという考え方もできるでしょう。
4-3. あまりに狭いスペースには置けない
小型電気温水器といえど、全くスペースのない場所に設置することはできません。
たとえばシンク下に本体の置き場所がない場合や、壁にかけるスペースもない場合などは、本体を少し離れたところに置いて配管を伸ばすなどといった工夫が必要です。
この場合は専門の知識を持った業者に取り付けしたもらった方が安心なので、別途工事を依頼すると良いでしょう。
まとめ
小型電気温水器の電気代について解説しました。
小型電気温水器の電気代は、1日多くても数十円程度と非常に安いのが特徴です。
1月使っても一般家庭なら数百円程度で済みます。
本体価格も安く設置も簡単なことから、必要な場所に手軽に取り付けられる給湯器といえるでしょう。
導入を検討する場合は、自宅に必要なタンク容量や連続出湯量などを確認した上で、最適な製品を選んでください。