住宅設備や家電メーカーとして高い知名度を誇るパナソニック。皆さんは、パナソニックがどのような給湯器を開発しているか、ご存知でしょうか。
実際のところ、「給湯器の交換を検討しているけど、どのメーカーがいいのか分からない…」という方も少なくありません。
給湯器の交換をする際は、各メーカーの特徴をよく知っておく必要があります。パナソニックは、特にエコキュートのメーカーシェアは2014年5月時点でトップシェアの3割を獲得しており、様々な便利機能を搭載した給湯器を開発しているのです。
ここからは、パナソニックの給湯器の中でも特に電気で稼働する「電気温水器」や、場所を取らない小型電気温水器の販売状況について詳しく解説します。
パナソニックならではの技術や便利な機能が搭載された電気温水器は、使い勝手も良いこと間違いなし。この記事を読めば、どの給湯器があなたにとって効率の良いものかが理解できることでしょう。
パナソニックの電気温水器の仕組み
電気温水器は、その名のとおり電気をエネルギーとして稼働するタイプの給湯器です。
まずはその仕組みから、電気温水器とは何か、どんなメリットがあるのかを見ていきましょう。
1-1. 電気温水器の仕組み
電気温水器は、電気を通して熱くなるヒーターで水を温めます。そして温まった水を貯めておき、必要に応じて供給するシステムです。
このような基本となる構造はどのメーカーも同じですが、メーカーによって少しずつ細かい仕組みが異なります。
パナソニックでは、「積層沸き上げ」と「対流沸き上げ」という2種類の沸き上げ方式を採用。それぞれの仕組みや構造を見てみましょう。
1-1-1. 積層沸き上げ
積層沸き上げとは、タンクの中で冷たい水、ぬるい水、熱いお湯が層になる沸き上げ方式です。
本体の上層部に加熱用のヒーターがあり、下から冷たい水を供給します。すると本体の上部にお湯、中間層にぬるま湯、下層部に水の層ができるのです。
この沸き上げ方式では上の熱いお湯からから順次供給していき、水が減り次第中間層のぬるま湯を熱してすぐにお湯を作れます。
常に全体を温めておく必要がなく、効率の良い沸き上げ方式です。積層沸き上げを採用したパナソニック製品では、30分間で20~30Lのお湯を沸き上げられます。
1-1-2. 対流沸き上げ
対流沸き上げは、加熱用のヒーターがタンクの下部に設置されています。
下から冷たい水が供給され、タンク内部の水が対流しながら均一に温められていくのが特徴です。
パナソニック製品の場合、沸き上げ温度は約75℃~約85℃。給湯時には設定した湯温に調節されて、供給されます。
対流沸き上げでは常にタンク全体を温めておく必要があるものの、すぐに使えるお湯の量が多いというメリットがあります。
1-2. 電気温水器のメリット
給湯器にはガス給湯器や石油給湯器、自然冷媒ヒートポンプ給湯器(エコキュート)など、さまざまな種類があります。
その中でも電気で稼働する電気温水器のメリットは、以下のとおりです。
- ガス代がかからない
- 安い夜間電力を使ってお湯を沸かせる
- オール電化住宅に対応
- 匂いがしない
- 火災のリスクがない
- 万が一のときにお湯が使える
特にガスではなく電気に支払いを1本化できるといった点や、ライフラインが止まってしまった際もお湯を一定時間保温し、適宜取り出せるといった点が評価されています。
1-3. 電気温水器の使用をおすすめできる人
電気温水器は、以下のような人におすすめです。
- 石油やガス給湯器に不満がある(匂いや稼働音など)
- ガス代が高いと感じている
- 電気代の安い新電力会社で電力契約を結んでいる
- 夜間電力を活用したい
- オール電化住宅に住んでいる
- 環境にやさしいエネルギーを使いたい
- 安全な住宅設備を使いたい
- 災害時に備えたい
- エコキュートにしたいが本体価格が高く諦めた
好みや生活スタイルによって、最適な給湯器の種類は異なります。まずは、自分に電気温水器の特徴が合っているかどうか、検討してみてください。
1-3. 電気温水器の種類
電気温水器には通常タイプと、小型タイプがあります。両者の違いを見ていきましょう。
1-3-1. 通常タイプの電気温水器
通常タイプは、300Lから500L以上のタンク容量を備え、お風呂や台所など、世帯全体に供給するお湯の沸き上げを1台でまかないます。
そのため大きさも高さが2m近くある商品が多く、底面積も50cm四方以上ある場合がほとんどです。
たとえばパナソニックのフルオート給湯器「DH-37G5QU」の外寸は、高さ2,097mm×幅667mm×奥行700mmです。
1-3-2. 小型タイプの電気温水器
小型タイプは1つまたは2つのみの蛇口へお湯を供給するための、コンパクトな電気温水器です。
タンク容量も12L前後と小さく、外寸も50cm四方におさまる商品があります。
一般的な家庭で小型電気温水器が使われるシーンはあまりありませんが、たとえば家にはなれがあり、メインの給湯器でカバーしきれない場合などに小型電気温水器が活躍します。
他にも、会社の給湯室や公共のトイレ、授乳室など単発的に水栓を引く際に、小型電気温水器はおすすめです。
パナソニックの小型電気温水器の商品情報については、後ほどご紹介します。
パナソニックの電気温水器「ユポカ」
パナソニックは独自の電気温水器「ユポカ」というシリーズを展開しています。ここからは、ユポカならではの特徴を見ていきましょう。
2-1. 自動沸き増しで湯切れ防止
ユポカは残湯量が100L以下になると、自動的にお湯の沸き増しをはじめます。
電気温水器はあらかじめお湯を作っておくという特性上、急激に大量のお湯を使うと「湯切れ」するリスクが付き物です。
しかも一度湯切れを起こすと、電気温水器は再度お湯を沸かすのに30分以上かかります。
「シャワーをしている途中で湯切れをして、その後しばらく待つ羽目に」なんていうことも。
しかし、この自動沸き増し機能があれば、湯切れのリスクも抑えられます。タンク容量によって自動沸き増しをする残湯量も多く設定できて安心です。
また、自動沸き増しをしてもなおお湯の減りが早い場合は、お湯を使う度に沸き増しをする設定も可能。二段構えで湯切れを防止します。
2-2. 高い給湯圧で湯張り時間を短縮
パナソニックのユポカには、高圧力タイプという商品があります。これは2階にお風呂がある場合や、3階でもお湯を使いたい人向けの機能です。
通常、85kPaの圧力に対し、高圧力タイプの水圧はなんと150kPa。倍近い圧力で、高い階層にも勢いよくお湯を送り出します。
たっぷりのお湯でストレスなくシャワーを浴びたい人にも、おすすめの機能です。
2-3. おまかせ運転で無駄のない沸き上げを実現
ユポカには1日で使った湯量を学習し、翌日以降の沸き上げ量に反映させる「おまかせ運転」機能が付いています。
たとえば残湯が少なくなり、自動沸き増しが稼働すれば夜間の沸き上げ量が足りないと判断し、沸き上げ量を増やします。
逆もしかり、無駄のないように湧き上げ量を減らす場合もあります。
このように、自分で沸き上げ量を設定しなくても自動で湯量を学習し、常に丁度よい量のお湯を沸かしてくれるのが魅力です。
なお、ユポカの湯量は9段階あり、使用量に応じて段階を上下させ、沸き上げ量を調節します。
2-4. ダブル湯温コントロールでどこでも快適
パナソニックのユポカはキッチンや洗面所から出るお湯と、お風呂のお湯を別々に温度設定できます。
たとえばお風呂の温度は常に40度にしておいて、キッチンはややぬるめの35度、といった調節ができます。
別々で湯温を設定しておけば、お風呂やキッチンを使う度にわざわざ設定し直す必要がありません。
また、パナソニックのユポカではお風呂が約36℃~48℃、キッチンや洗面所が32℃・35℃・38℃~47℃・60℃に設定できます。
温度は約1℃単位で変更できるため、好みに合わせて微調節したい人にもおすすめです。
2-5. コミュニケーションリモコンが便利
広いマンションや一軒家、家族と暮らしている人にはユポカのコミュニケーションリモコンが便利です。
壁掛けタイプの給湯リモコンですが、音声やメロディーで給湯の情報を知らせてくれます。
たとえばお風呂を沸かしている間に離れた部屋で作業をしていても、音楽が鳴ってお風呂が沸いたことに気付けます。
また、リモコンを通してお風呂に入っている家族との会話も可能。お子さんや高齢者の見守りにも便利な機能です。
パナソニックの小型電気温水器「GQD12HDKK」
パナソニックは通常タイプの電気温水器「ユポカ」シリーズのほか、小型電気温水器「GQD12HDKK」という商品を発売しています。
ここからはパナソニックの小型電気温水器について見ていきましょう。
3-1. 「GQD12HDKK」の商品概要
GQD12HDKKは、約12Lの容量を持つ小型電気温水器です。
サイズは高さ390mm×幅319mm×242mmと非常にコンパクトで、シンク下にもすっぽり収まります。
一般タイプの電気温水器に比べて価格も安く、設置も簡単なのが特徴です。
3-2. メーカーからの販売は終了
GQD12HDKKは、現在パナソニックからの正規販売は終了しています。
現在手に入れるには、amazonやYahoo!ショッピングなどに出品されている在庫を購入するしかありません。
3-3. LIXILやTOTOに類似商品あり
小型電気温水器の購入を検討している人には、LIXILやTOTOの製品がおすすめです。
パナソニックは現在小型電気温水器を販売していないものの、LIXILやTOTOは積極的に商品展開をすすめています。
機能的でスタイリッシュな商品がバリエーションも豊かに展開されているため、ぜひLIXILやTOTOのホームページやカタログをご覧ください。
パナソニックの「GQD12HDKK」に似た製品も多くラインナップされています。
まとめ
パナソニックの電気温水器について解説しました。
パナソニックは小型電気温水器こそ販売していないものの、一般タイプの電気温水器については現在も複数の商品を展開しています。
給湯器の交換を検討している人は、まず電気温水器が自分に合っているかどうか検討した上で、具体的な商品を選びましょう。