電気でお湯を沸かす電気温水器は、「大きなタンクが必要で場所を取る」というイメージがあるかもしれません。しかし、皆さんは実際にどのような種類の給湯器が適しているか、ご存知でしょうか。
実際のところ、「サイズや構造など色々な種類があって、よく分からない…」という方も多くいらっしゃいます。
しかし、きちんと違いを知らずに給湯器を検討・交換してしまうのはあまり良い方法とは言えません。給湯器の中には「小型電気温水器」といってタンクが小型であり、ちょっとした洗面台に取り付ける分には最適な商品が存在します。
ここからは、TOTOの小型電気温水器「湯ぽっと」について詳しくご紹介します。TOTOの湯ぽっとシリーズは複数商品を展開しているため、その違いについても解説。この記事を読めば、流しやシンクにつける給湯器をお探しの方にとって最適なポイントが理解できることでしょう。
電気温水器の仕組み
まずは小型電気温水器の概要について、見ていきましょう。
1-1. 電気温水器の仕組み
電気温水器は、その名のとおり電気を使ってお湯を沸かすタイプの給湯器です。
お湯を沸かす本体の中には電熱ヒーターが搭載されており、このヒーターに電気を通して熱を持たせることで周囲の水を温めます。
そしてお湯ができたらタンクに貯めておき、必要に応じて供給する仕組みです。
ガス給湯器などと異なり、お湯をタンクに貯めておくためすぐに設定温度のお湯が供給され、非常時もお湯が使えるなどのメリットがあります。
1-2. 一般的な電気温水器と小型電気温水器の違い
家庭ではお風呂や水道にお湯を供給できるよう、数百リットルの容量がある電気温水器を使うのが一般的です。
これに対し、1つの蛇口やシャワーヘッドなどにのみお湯を供給することを想定して作られたのが小型電気温水器です。
小型電気温水器の多くは容量が数リットルから十数リットルしかないものが多く、お風呂も含めたお湯の供給は難しいといえます。
しかし、離れの洗面所や手洗い場に設置する場合などには、使い勝手の良い商品といえるでしょう。
また、オフィスの給湯室やスタッフルーム、授乳室などにシンクや洗面所を設ける場合などにも、多く用いられます。
小型電気温水器のメリット
では続いて、小型電気温水器を設置するメリットについて見ていきましょう。
2-1. 設置スペースを取らない
小型電気温水器は、基本的に1つの蛇口やシャワーヘッドにしか給水しないため、タンク容量が少ないのが特徴です。
しかしこの分、タンクを含む本体の大きさが非常にコンパクトで、設置場所にも困らないのがメリットといえます。
一般的な家庭用電気温水器では、底面が50cm~80cm四方で高さが2m近くあるものが多数。ベランダや玄関先、庭のスペースをかなり占有してしまいます。
一方、小型電気温水器は四方や高さが30cm以内に収まる商品も多数。TOTOの小型電気温水器の中には、奥行きが13cmしかないものもあります。
これだけ小さければシンク下や横のちょっとしたスペースで、手軽に設置できます。
2-2. 取り付けが簡単
小型電気温水器は商品が小型で、一般的な電気温水器に比べて接続する配管の数も少ないため取り付けが簡単です。
電気温水器は取り付けや交換に半日程度かかることもありますが、小型電気温水器ならそこまで工事の時間はかからないでしょう。
また、TOTOの小型電気温水器「湯ぽっと」には、本体だけでなく連結管など設置に必要な部材が全て梱包されているのが特徴です。
2-3. 本体金額が安い
一般的な電気温水器は30万円以上する商品も多くありますが、小型電気温水器は本体金額が安いのもメリットの1つです。
小型電気温水器は通販で3万円台など、10万円を切る価格で購入できるものが多数。
TOTOの湯ぽっとは品番やタンク容量に応じて、3万2,000円台から12万円台で購入できる商品があります。
TOTOの小型電気温水器「湯ぽっと」
TOTOの展開している小型電気温水器は、湯ぽっとシリーズのみです。
湯ぽっとシリーズはタンク容量が6L~35Lまであります。
また、給湯のタイプは蛇口で水を止めておく先止め式と、蛇口(水栓)よりも手前で水を止めておく元止め式に分かれるのが特徴です。
先止め式の場合は自動や手動、さまざまな形状の蛇口に対応できる一方、元止め式は専用の自動水栓が一体になっており、初期費用の面でメリットがあります。
TOTOの小型電気温水器「湯ぽっと」は大きく分けて4種類
TOTOの小型電気温水器湯ぽっとは、用途と形状で分類することもできます。
用途は、飲料や洗い物に使うか洗面や手洗いのみに使うかの2種類です。
飲料用の電気温水器は、貯湯温度を80℃以上に高温設定できてそのまま飲料用として使用可能です。
一方洗い用電気温水器は、貯湯温度が80℃未満になることがあり、長期間の使用でタンク内の水質が変質する恐れがあるため、そのまま飲料用として使用できません。
形状については、奥行きのスリムな壁掛け型と正方形に近い据え置き型があります。
壁掛け型の方がコンパクトで、洗面やシンク下のスペースを取りません。
一方、据え置き型は容量が大きく、使用人数やお湯の使用量が多い場合にも対応できます。
4-1. 洗面・手洗い用壁掛け型電気温水器
貯湯量 | 約3L |
消費電力 | 0.6kW |
構造 | 元止め式・先止め式 |
スペースが限られるトイレや授乳室などにも、コンパクトに設置できる小型電気温水器です。
薄型の製品なら奥行きが13cmにまで抑えられており、全面の面積もA4の紙と変わらない製品もあります。
蛇口の上部やサイドに壁掛けしても、圧迫感を感じないコンパクトさが魅力です。
タンク容量は3Lとやや少なめですが、連続出湯量は約7L~約8L。中小企業の化粧室や小規模店舗、個人宅で使う分には十分なスペックといえるでしょう。
また、壁掛けする際に余ったコードを製品の内部に収納しておくことも可能。見た目もスッキリとし、掃除もしやすい設計です。
もし設置場所によって壁掛けできない場合は、床に置いて使用することもできます。
4-2. 洗面・手洗い用据え置き型電気温水器
貯湯量 | 約5L・約6L・約10L・約12L・約20L・約25L・約30L・約35L |
消費電力 | 0.6kW~2.0kW |
構造 | 元止め式・先止め式 |
最も貯湯量のバリエーションが豊富なのが、洗面・手洗い用の小型電気温水器です。
タンクは約5Lのものから約20Lまで、幅広く展開しています。小規模なオフィスや店舗で使うなら、5L容量でも十分に使えるでしょう。
学校や大きなホール、公共機関など不特定多数の人が行き交う場所では、10L以上の容量を確保した小型電気温水器がおすすめです。
自宅の離れに設置する場合や、農作業やアクアリウム用などの目的で使う場合は約5L、もしくは壁掛け型電気温水器でも十分にまかなえるでしょう。
また、TOTOの据え置き型電気温水器は本体の形状にさまざまなバリエーションがあります。
正方形に近い形状の商品が一般的ですが、TOTOの製品は縦に長いものや横に長い製品も展開。置き場所に合わせて本体の形状も選べます。
さらに製品によっては「おまかせ節電」という機能も搭載。
おまかせ節電は今までのお湯の使用傾向を学習し、お湯を使わないと判断した時間帯には沸き上げを停止して節電する機能です。
10年前の製品に比べて約17%の節電が実現するため、既存の小型電気温水器が古くなっている場合は、交換することで年間コストを大幅に削減できる可能性があります。
4-3. 飲料・洗い物用壁掛け型電気温水器
貯湯量 | 約12L・約20L・約30L |
消費電力 | 1.1kW~2.0kW |
構造 | 元止め式 |
オフィスの給湯室などにおすすめの小型電気温水器です。
TOTOのカタログによれば、施設の規模が40人以下なら12L容量の製品で間に合うとのこと。70人程度なら20L、100人程度なら30L容量の製品を選ぶと良いでしょう。
壁掛けができるので、シンク下がかさばることもありません。シンク下の掃除や、車いすで手を洗う場合にも給湯機本体が邪魔にならず、おすすめです。
また、飲料・洗い物用の小型電気温水器にはTOTO独自の「まぜーる」と呼ばれる混合水栓がセットになったものも。
まぜーるは1つの水栓で飲料用の熱湯栓と、洗い物用の水栓を使い分けられる蛇口のことです。
蛇口から直接熱湯を出して急須に注げば、わざわざ水をポットに入れてお湯を沸かす手間も省けます。給湯温度は60度~90度の間で調節可能です。
お茶を作る時だけでなく、カップラーメンを作ったりインスタントスープを作るのにも便利な水栓です。
4-4. 飲料・洗い物用据え置き型電気温水器
貯湯量 | 約12L・約25L・約35L |
消費電力 | 1.1kW~3.1kW |
構造 | 先止め式 |
据え置き型の小型電気温水器は、壁掛け型よりも容量の大きい製品がラインナップされています。
150人規模のオフィス給湯室などでは、35L容量タイプのものを選ぶと良いでしょう。
また、据え置き型の場合、基本的にはシンク下へ設置することになります。
通常、シンク下に本体を配置すると配管の接続口によって設置場所が制限されるのですが、TOTOの製品は配管の接続口が360度回転。シンク下の左右前後、どちらに寄せて配置しても問題なく接続可能です。
さらに暗いシンク下でもリモコン画面が良く見えるよう、バックライトを搭載。モニターが見えにくくなることもなく、いつでも手軽に設定温度や沸き上げのモードを変えられます。
また、給湯機能を使わない時期がある場合は2ヶ月単位で最長6ヶ月まで沸き上げ機能を停止しておくことも可能です。
たとえばオフィスで、夏場は来客にも冷たいお茶を出すといった場合は湧き上げ機能を停止しておくことで効果的に節電できるでしょう。
まとめ
TOTOの小型電気温水器について解説しました。
一般的な家庭には大型の電気温水器が取り付けられるため、あまり小型温水器を購入する機会はないかもしれませんが、オフィスや公共施設などでは重宝される給湯器です。
特にTOTOは用途や容量、本体の形状などで最適な製品を選べるよう、複数のラインナップがあるほか、水栓も好みに応じて選べます。
給湯器の取り換えやリフォームを検討されている方は、ぜひTOTOの小型電気温水器の設置を検討してみてはいかがでしょうか。